「慎み」に相応しい英語は〈decency〉

「慎み」という日本語に最も相応しい英語は〈decency〉だと思います。英英辞典を引いてみましょう。ある辞典ではこうあります。

村上陽一郎『エリートと教養 ポストコロナの日本考』(中公新書ラクレ)
村上陽一郎『エリートと教養 ポストコロナの日本考』(中公新書ラクレ)

behaviour that is good, moral, and acceptable in society

この用語法から、イギリス語の辞典であることはご想像いただけると思います(余計なことですが、私のワードプロセッサーは〈behaviour〉と綴ると、誤表記を表す朱の下線がつきます、まことに大きなお世話です)。もう一つの例を引きます。

the acceptable or expected ways of doing something in society

あえて直訳的な解釈を施せば、前者は、「社会において、良しとされ、道徳的であるとされ、あるいは許容できるとされる行為」となり、後者は「何事かをなすに当ってのやり方として、社会において、許容される、あるいは求められるもの」とでも言えばよいのでしょうか。どちらも「社会において」という限定副詞句がついていることが眼目でしょう。

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