「雇用」以外にも選択肢はある
棚卸しする項目は、仕事に限らず幅広く考えるといいでしょう。例えば、消防団やPTA会長など社会での活動は、その人の人となりを最もよく表す部分です。転職の際の面接でも、そういった話題から話が弾むことはよくあります。
これまでの仕事を細かく棚卸しすることで、「人事」や「経理」などで単純に括ることのできない専門スキルも見えてきます。
例えば、3社合併の経験がある場合、文化の異なる3社が一緒になるときどのような問題があり、どのように解決したのかは、その人が培った独自の専門性です。こうした専門性は、企業や業種を問わずどこでも使える「ポータブルスキル」になり得ます。自分のポータブルスキルは何かを見極めることが重要です。
キャリアの棚卸しは、在職中に進めておくとよりいいでしょう。実績データは在職中でなければ入手することは困難ですし、退職してから「あれはいつだったっけ?」と思い出そうとしても、記憶が曖昧になるからです。
棚卸しができていれば、早期退職優遇制度が適用された際にも、行き当たりばったりで会社を辞めることなく、主体的に動くことができます。
大事なことは、キャリアを棚卸ししたうえで、自分が納得するキャリアを選択することです。20年以上も働いてきた人が、専門スキルを何も持たないはずはありません。雇用に縛られない選択肢を準備し、自分で決めていくことが、これからの時代を生き残るには必要です。