「雇用」以外にも選択肢はある

棚卸しする項目は、仕事に限らず幅広く考えるといいでしょう。例えば、消防団やPTA会長など社会での活動は、その人の人となりを最もよく表す部分です。転職の際の面接でも、そういった話題から話が弾むことはよくあります。

これまでの仕事を細かく棚卸しすることで、「人事」や「経理」などで単純に括ることのできない専門スキルも見えてきます。

『THE21』編集部編『50歳から必ずやっておくべき10のこと』(PHP研究所)
『THE21』編集部編『50歳から必ずやっておくべき10のこと』(PHP研究所)

例えば、3社合併の経験がある場合、文化の異なる3社が一緒になるときどのような問題があり、どのように解決したのかは、その人が培った独自の専門性です。こうした専門性は、企業や業種を問わずどこでも使える「ポータブルスキル」になり得ます。自分のポータブルスキルは何かを見極めることが重要です。

キャリアの棚卸しは、在職中に進めておくとよりいいでしょう。実績データは在職中でなければ入手することは困難ですし、退職してから「あれはいつだったっけ?」と思い出そうとしても、記憶が曖昧になるからです。

棚卸しができていれば、早期退職優遇制度が適用された際にも、行き当たりばったりで会社を辞めることなく、主体的に動くことができます。

大事なことは、キャリアを棚卸ししたうえで、自分が納得するキャリアを選択することです。20年以上も働いてきた人が、専門スキルを何も持たないはずはありません。雇用に縛られない選択肢を準備し、自分で決めていくことが、これからの時代を生き残るには必要です。

【関連記事】
ダメな上司ほど最初に使ってしまう…「部下との1対1」で避けたほうがいい"ある言葉"
「昭和おじさんは若手に基準を合わせるべきだ」世界一ギスギスした日本の職場を変える唯一の方法
「人事部にはあらゆる陰口が集まってくる」業績は高いが評価されない人に欠けている"ある観点"
「すぐに会社をやめたほうがいい」日本でたった一人の相貌心理学教授がそう助言する人の顔の特徴
「7割はノーテンダー社員」人事部が"放出候補"リストにあげる打率2割5分のいてもいなくてもいい社員の特徴