多くの企業が早期退職の実施に踏み切っている。応じてもいいのだろうか。中高年専門ライフデザインアドバイザーの木村勝さんは「55歳を過ぎてからの転職は決まりづらく、収入ダウンの可能性も高い。早期退職ではなく、出向を受け入れたほうがいい」という――。

※本稿は、『THE21』編集部編『50歳から必ずやっておくべき10のこと』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

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アラフィフが「黒字リストラ」のターゲットに

つい最近までは、新卒で入社した会社に60歳定年まで勤め上げ、そのあとは悠々自適な余生を送るというキャリアプランが通用しました。

しかし、今は寿命が延びたうえに、年金支給開始年齢が60歳から65歳へ引き上げられ、働けるうちは働かなくてはならない時代になっています。

そのような中、改正高年齢者雇用安定法が成立。今までは企業には希望者全員を65歳まで雇用する義務がありましたが、改正法では、70歳まで就労機会を提供することが努力義務とされました。この改正法は、2021年4月から適用されています。

その内容を見ると、定年延長、定年廃止、契約社員など、従来の選択肢に加え、フリーランス選択者との業務委託契約の締結、事業主自ら実施する社会貢献活動への参加、の対応策が新たに認められることになりました。

では、現状、企業の高年齢者雇用の実態はどうかというと、定年を延長する動きはありますが、9割以上の企業が60歳定年のままで、定年以降は「再雇用」で対応しています。法改正が行なわれたとはいえ、70歳までの就労機会の提供はあくまで努力義務ですから、60歳で定年退職して再雇用されたとしても、65歳で雇用が終わるのが現状です。

さらに2019年からは、業績が好調な時期に行なう「黒字リストラ」が増加。その背景には、働き手として最も多い48~51歳の団塊ジュニア世代と、53~57歳のバブル入社世代の割合を減らし、若手にシフトさせたいという企業の思惑があります。もはや、会社が用意するレールに乗っておけば安泰という時代は終わりました。キャリアは自分で築いていく必要があるのです。

では、今後想定されるキャリアにはどのようなものがあるのでしょうか。

極めてシンプルで、

①今の会社で働き続ける
②転職する
③出向する
④独立・起業する

の四つに絞られます。それぞれについて詳しく見ていきましょう。