「女性皇族の子は皇位に就かせない意思を表した」のか
愛子さんは昨年12月1日に20歳になった。母親似の晴れやかな姿は多くのメディアで取り上げられ、愛子天皇待望論はいやがうえにも高まっているのである。
そんな世論の背景を見てみないふりをして、“時代錯誤”のような報告書を作り上げたのはなぜなのか。
朝日が指摘しているように、女性皇族が結婚して皇室にとどまったとしても、配偶者と子どもは皇族としないとすれば、「一つの家族の中に皇族と一般国民が同居するという分かりにくい形をとってでも、女性皇族の子は皇位に就かせない意思を表したものではないか」(同)。
また、養子縁組でも、養子になれるのは男系男子に限る、対象として戦後改革で皇籍を離れた旧11宮家の男子と明記したのは、「(有識者=筆者注)会議の聞き取りに応じた複数の憲法学者が『門地(家柄、門閥=筆者注)による差別を禁じた憲法に反する恐れ』を指摘したが、無視された格好だ」(同)
岸田首相は女系天皇反対、女性天皇は容認?
ダイバーシティをないがしろにし、女性差別、憲法違反の疑いのあるものをまとめ、何が何でも愛子天皇実現を阻止するという報告書にしたのはなぜなのか?
流布されている説として有力な一つは、安倍晋三元首相が頑なに「女性・女系天皇に反対しているから」というのがある。在任中に「女性が輝く社会」を掲げ、女性活躍推進法を成立させた張本人が、皇室だけは男尊女卑というのでは筋が通るまい。
安倍元首相だけではなく、菅義偉前首相も消極的な反対派で、ポスト菅の総裁選に出馬した岸田文雄氏、高市早苗氏も反対の意思を表明した。
岸田氏は、女系天皇を認めるかどうか質問され、「反対だ。今そういうことを言うべきではない」といい切ったが、これは安倍氏の支持を得るための方便だったといわれる。その後、歴史上前例のある女性天皇は許容してもいいのではないかと考えているといわれているようだ。
安倍氏の“寵愛”を受けている高市氏は当然女系天皇には反対だ。文藝春秋1月号でその理由をこう語っている。