「今の時代に変えてしまったら、やり直しはききません」

「愛子さまが天皇に即位されたら、男系(父が天皇)の女性天皇になられる。その後、仮に愛子さまがAさんという民間の男性と結婚され、第一子に女子が誕生して天皇に即位されると、『女系(母親もしくは母方の先祖が天皇)の女性天皇』となられます。この天皇の祖先はA家、女系の祖先は小和田家(雅子さまの父親の姓)ということになります。最初は男系の女性天皇、次に女系の女性天皇にすると、二代で男系の祖先も女系の祖先も民間人ということになってしまいます。

結婚指輪と人工花
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父方の血統が、初代天皇から繋がっているのが皇統です。二千六百年以上の長きにわたり、一度の例外もなく男系でした。男性の天皇であっても女性の天皇であっても、南北朝時代にあっても、父親をたどれば必ず歴代の天皇に連なるという継承を維持してきた。今の時代に変えてしまったら、やり直しはききません」

これが女系天皇に反対している人たちの典型的な考えなのだろう。

文藝春秋から、歴代の天皇の約半数が側室を母に持つ庶系(正妻の子どもではない。庶子)の天皇だから、男系男子という伝統を守り続けるのであれば側室制度を復活させなければ無理なのではと問われ、

「側室制度の復活などは、考えたこともございません(笑)」

と答えている。

「皇室不要論」につながるのではないかと危惧

そうであれば、将来、悠仁さんが結婚すれば、その妃にはかつての雅子皇后のように、男の子を生まなくてはという強烈なプレッシャーがのしかかってくるのだ。そんな苦労を承知で嫁いでくる女性がいるだろうか。

高市氏は、男女平等だからという価値観でこの問題を議論する方がいるが、男系も女系の子孫も民間人という人間が天皇に即位したら、「皇室不要論」につながるのではないかと危惧しているようだ。

文藝春秋から、国民の間には女性天皇待望論が根強くある、NHKが2019年9月に行った世論調査では、女性天皇に賛成する人が74%、特に18歳から29歳までの若い世代では90%が賛成だったがと聞かれ、「その調査については、私は承知しておりません」と、知らないふりをしている。都合の悪いことには耳を貸さない。

高市氏は、女性天皇に反対する立場ではないと矛盾することもいっているのだが、「現実的には女性が皇位を継がれることは大変」だから無理ではないかと、体力の問題にすり替えている。

保守派の考えはここに集約されるのだろうが、愛子天皇を認めないというには、論理が薄弱だと思う。

すでに秋篠宮が天皇にはならないと表明している。皇嗣という立場で即位を拒否できるのかどうか、私には分からないが、もしそうなれば、皇位継承者は常陸宮と悠仁さんだが、常陸宮は86歳という年齢から考えても厳しいだろうから、悠仁さんしかいないのが現実である。