アシックスが全面広告で宣戦布告「負けっぱなしで終われるか」

一方のアシックスは、ナイキの厚底シューズが登場するまでは首位に君臨してきたが、年々シェアを下げると、前回大会はまさかの0人になった。しかし、昨年2月のびわ湖毎日マラソンでアドバイザリースタッフ契約をしている川内優輝(あいおいニッセイ同和損保)がアシックスの厚底タイプを着用して8年ぶりの自己ベストとなる2時間7分27秒をマークしたことが話題になると、学生ランナーでも使用が目立つようになった。ストライド型に対応した『METASPEED Sky』と、ピッチ型に対応した『METASPEED Edge』だ(両モデルとも税込み2万7500円)。

そして2022年元日付の日本経済新聞などに「わたしたちは、何度でも起き上がる。」というコピーの全面広告を掲載。そこには「2021年1月。レースから、アシックスのシューズが姿を消した」「負けっぱなしで終われるか」などと記されていた。

道路を走る女性ランナー
写真=iStock.com/lzf
※写真はイメージです

箱根駅伝はミズノが協賛しているため、広告内で「箱根駅伝」の名前を出せないが、ナイキを含む他社への明らかな“戦線布告”だった。その結果、アシックス使用のランナー0人から、今回24人へとV字回復ともいえる躍進を見せた。

ミズノは2人しかいなかったが、4年連続で3区を走り、トータル“19人抜き”を演じた遠藤大地(帝京大4年)と、4区で区間賞を獲得した嶋津雄大(創価大4年)が使用。ともに真っ白いシューズを履いて、インパクトを残している。

遠藤は発売前の厚底タイプとみられるモデル。嶋津も練習で厚底タイプを試しているが、今回は使用を見合わせている。過去2回の箱根駅伝でも快走した『ウェーブ デュエル ネオ』もしくは現行モデルの『ウエーブデュエル ネオ 2』(税込み2万5300円)を着用していた。

メーカーによってサイズ感は微妙に異なり、フィット感やクッション性、反発力なども個々で好みが分かれるものの、はっきり言えるのは、2~3年前はナイキ厚底シューズのポテンシャルがずば抜けていたが、この1~2年で他ブランドのレベルが急上昇したということだ。基本的に、選手たちは自分に合うシューズを履きたいと考えている。どこか右へならえ式のこれまでの“ナイキ一強”が異常だったわけで、少しずつ“正常”なかたちに戻ってきている印象だ。