<HSP(敏感すぎる人)提唱者が、自尊心が低くなってしまう理由を科学的に解説。10年の歳月をかけて見つけた、セラピストに頼らず自分で取り組むことのできる自己肯定感の育み方とは:ニューズウィーク日本版ウェブ編集部>
空を見上げている女性
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内閣府の調査によると、日本の若者は諸外国の若者と比べて、自己肯定感が低いという。教育や社会環境の違いなど、さまざまな要因が考えられるだろうが、謙遜が美徳とされる日本で生き抜くための一つの知恵のようになっているかもしれない。

しかし自分自身を過小評価しすぎることは、自尊心の低さにもつながる。人は誰しも心の奥底に、自分には価値がないと思う部分を抱えているものだが、必要以上に自分を低いところに追いやることは、人生の幸福度を一気に下げてしまう。

近年日本でも話題になったHSP(Highly Sensitive Person=とても敏感な人)という気質について提唱した、アメリカの心理学者エイレン・アーロンが高感度(high sensitivity)の研究から見つけたのは、生まれもった性質を意識することによって、自己肯定感は育むことができるということだ。

エイレン自身も、自分を過小評価してしまう人間だったという。「この感情は強烈で、人生の大半をこの問題に悩まされてきたと言っても過言ではない」と話す。

実際に、エイレンがある授業を行ったときのこと。授業のあと、生徒数人がエイレンのもとを訪れ、授業の内容はおもしろかったが、話し方が非常に聞き取りづらかったと伝えられた。彼らは、エイレン自身が自分の話すことに価値がないと思っているみたいだと言ったという。

これをきっかけに、自分を過小評価することについて、何らかの手を打つ必要に迫られたエイレンが行ったことはどんなことか。

『自分を愛せるようになる自己肯定感の教科書』(エイレン・N・アーロン著、片桐恵理子訳、CCCメディアハウス)には、自尊心が低い理由が科学的に解明されるだけでなく、エイレン自身が自己評価の低さを癒やし、コントロールした方法が明かされている。

キーワードは、ランキングとリンキング

自尊心を正しく育てるためには、ランキング(Ranking)とリンキング(Linking)がキーワードとなるという。

ランキングとは、「自分の格付け」だ。自分は低いところにいて、高いところを目指すべきであるというもので、現状の、ありのままの自分には価値がないというふうに感じてしまうこと。

私たちが日々行っていることの多くは、他人と自分を比較し、敬意、影響力、権力を得るための努力である。言い換えれば、社会のなかでの自分のランクづけである。