「別のフレーバーも試す」買い回りが起きている

無糖ストレートティーは紅茶本来の香りや味わいの高さが求められるゆえ、無糖ストレートティーに最適な茶葉の追求が鍵になったそうだ。

世界各地にある茶葉を徹底的にリサーチし、最終的に行き着いたのが、華やかな香り立ちが特徴のダージリンと茶葉の味わいに奥行きを持たせるアッサムだった。

これら2つを絶妙なバランスでブレンドし、茶葉本来のうまみや素材のおいしさを引き出すために独自のエスプレッソ製法で抽出しているという。

無糖ストレートティーの開発では「150を超える試作品をつくるほど、試行錯誤を重ねながら商品化を進めた」と田中さんは話す
筆者撮影
無糖ストレートティーの開発では「150を超える試作品をつくるほど、試行錯誤を重ねながら商品化を進めた」と田中さんは話す

「無糖ストレートティーを発売したことで、紅茶花伝のラインナップがさらに増え、スーパーやコンビニなどの売り場で“面”を取れるようになったのが大きいと考えています。これまで紅茶花伝を手に取らなかった新規のユーザーにも訴求できているのはもちろん、無糖ストレートティーをきっかけに別のフレーバーを試してみるなどの買い回りも起きています。紅茶花伝自体のブランド認知は高いので、こうしたブランド内での回遊性が生まれたのは大きな成果だと思っています。また、紅茶花伝全体で見ても、無糖ストレートティー発売後、約半年で前年と比較して飲用者数が2割伸長してきており、無糖ストレートティーの将来性を実感しています」

「ティーハウス」を舞台にしたコミュニケーション戦略

そして、新ブランド戦略の3つ目が“ティーハウス”を舞台に展開するコミュニケーション施策だ。

ティーハウスとは作り手のこだわりがつまった、さながらサードウェーブ系コーヒーのような架空の舞台を設定し、紅茶花伝ブランドの持つ「厳選素材とおいしいひと手間」の価値を伝えるコンセプトだという。

紅茶花伝ブランドの持つ「厳選素材とおいしいひと手間」の価値を伝えるティーハウスの世界観
画像提供=日本コカ・コーラ
紅茶花伝ブランドの持つ「厳選素材とおいしいひと手間」の価値を伝えるティーハウスの世界観

「紅茶花伝は順調に成長しているものの、もっと飲用シーンを広げ、消費者のさまざまなライフスタイルへ入り込めるようなブランドにしていかなければならないと考えています。お客さまに紅茶のイメージを聞いてみると、嗜好品のなかでも格式の高い印象を持たれていて、休日のご褒美やちょっと特別感のある飲み物といった認識を持っていることがわかりました。ティーハウスを通して、これまで限られたシーンでしか紅茶を飲用しなかった方にも、日常のちょっとした気分転換や仕事、家事の合間などに上質な紅茶を気軽に飲んでもらえるようなコミュニケーションを取っていきたいと思っています」