2022年に激増するノーテンダー社員、挽回のチャンスはないのか?
では今後、ノーテンダー社員はどうなっていくのか。2022年はノーテンダー社員を含む希望退職者募集が増えると予測するのは倉庫業の人事部長だ。
「大手企業の社員の平均年齢が45歳を超えており、どこの会社も40~60歳代が総人件費の60%以上を占めている。デジタル化への対応や新規事業をやりたいが、そこに回すお金がない企業も少なくない。あるいは新規事業に必要な外部の優秀な人材を採用するにもお金がかかる。そうなると40代以上の人件費を削るために早期退職募集を実施する企業が増えるのではないか。40代以降の人たちは、ある程度能力(の限界)が見えているうえに体力も落ちていく。それなりに会社に貢献しているが、今後すばらしい能力を発揮して事業収益を上げてくれる可能性は低い。年齢に加えて伸びしろが低い社員を外に出していこうという企業が加速するだろう」
実際にコロナ禍で拡大した企業の早期退職や希望退職の募集が、なかなか収まる気配がない。上場企業の希望退職の募集企業・人数は2020年に93社、1万8635人だったが、21年12月9日現在で80社、1万5296人。2年連続で80社を超え、1万人超えはコロナ前から3年連続となった(東京商工リサーチ調査)。この悪い流れは2022年も続く可能性が高い。
では、ノーテンダー社員に挽回のチャンスはないのか。前出のサービス業の人事部長は「難しい」と指摘する。
「会社に残ってしがみついていても、結局どこかの段階で“戦力外通告”される可能性が高いだろう。企業環境が厳しい今の時期にノーテンダーになっている人は、本当ならもっと前に自分の実力をつけておくべきだったが、これだけ変化の大きい時代にはもはや手遅れだと思う。可能性がないとは言えないが、自分自身を劇的に変えていくという覚悟を持たないと、ノーテンダーを抜け出すのは相当難しいだろう」
大多数のノーテンダー社員にとっては身も蓋もない話であるが、現実は厳しい。ノーテンダー状態から「戦力外通告」を受ける前に転職することで「再契約」の道もあるかもしれない。
2022年は改めて自分の行く末をしっかりと考えていく必要がありそうだ。