「君達は優秀かもしれないが、何で私が金持ちになったんだい?」

バフェットがグレアムの会社を去り、オマハに戻った当時、金融の中心地ニューヨークを離れ地方都市で金融関連の仕事をするなど考えられなかったのは前述の通りです。今と違ってインターネットなどない時代、情報から遠く離れることはただそれだけで「成功から遠ざかる」ことを意味していました。

桑原晃弥『ウォーレン・バフェットの「仕事と人生を豊かにする8つの哲学」』(KADOKAWA)
桑原晃弥『ウォーレン・バフェットの「仕事と人生を豊かにする8つの哲学」』(KADOKAWA)

1968年、新聞記者から「どうやってニューヨークの事情通と連絡をとるのですか?」と質問されたバフェットはこうコメントしました。「内部情報を信用して運用しても、1年間で破産してしまいますよ」(『ビジネスは人なり 投資は価値なり』)

投資に関する学説や理論を「たわごと」として片づけるバフェットを批判する学者や金融の専門家にはこう反論したこともあります。「君達は優秀かもしれないが、じゃあ何で私が金持ちになったんだい?」(『ビジネスは人なり 投資は価値なり』)

バフェットにこういわれて反論できる人はいません。

独力で考えなければ成功しない

バフェットは格付け会社に頼らなければ、ブローカーやアナリストに相談することもありません。内部情報に振り回されることもありません。大切なのは誰かの意見を聞いたり、権威ある人のアドバイスを受けることではなく、“自分で考えること”です。

「独力で考えなかったら、投資では成功しない。それに、正しいとか間違っているとかいうことは、他人が賛成するかどうかとは関係ない。事実と根拠が正しければ正しい。結局はそれが肝心なんだ」(『スノーボール(下)』)

重要なのはその企業が長く良い企業であり続けることができるかどうかであり、他者がどのように考えているか、世間でどのようなブームが起きているかはバフェットにとって関係のないことなのです。

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