4位 細田佳央太『ドラゴン桜』(TBS系)、『恋です!』(日本テレビ系)
両作品ともハンディキャップのある人物を丁寧に演じた。
演じるときの「目線って大事」と改めて思わせてくれた。真面目さと繊細さが必要な役作りに、かなり時間をかけたに違いない。若手だが、イケメン売りだけではない技量に脱帽。
役柄を超え、視聴者に訴えかける名演を見せた
さあ、いよいよベスト3。胸キュンだとか上腕二頭筋にときめいたのではなく、胸の奥にずしっと響いた演技だ。やりきれない悲しみや悔しさで、鼻の奥をつんとさせた、珠玉の名演技を紹介したい。
3位 竹野内豊『さまよう刃』(WOWOW)
『イチケイのカラス』(フジ)でも破天荒な裁判官を演じて高評価だったが、『さまよう刃』の鬼気迫る表情にはすっかり魅了された。娘が酷い目に遭わされて殺された父親の役だ。未成年犯罪の刑の軽さに絶望し、共犯者だった少年を殺害、逃亡した主犯格の少年を追う。
すべてを捨てて、娘の復讐を遂げようとする執念。いつものこぎれいな竹野内ではない。怒りは人相を変える。悲しみは人間を変える。憎しみは人生を変える。
復讐の鬼と化しているのに正当性を感じる熱演。もちろん殺人に正当性などない。でも、ないと言い切れるか? と訴えてくる演技だった。
2位 段田安則『六畳間のピアノマン』(NHK)
『桜の塔』(テレビ朝日系)で身内の不正で失墜する警視総監役や、『和田家の男たち』(テレビ朝日系)では一見傲慢だが愛らしい新聞社元社長の祖父役などを演じたが、イチオシは『六畳間のピアノマン』の父親役だ。
息子(古館佑太郎)が上司から理不尽なパワハラを受け続け、過労の末に交通事故で亡くなる。定年退職し、時間ができたことで息子の死に対する悲しみや憤りがよみがえるという役どころ。
2015年の『64(ロクヨン)』(NHK)では殺害された娘の父親役だったが、無念と執念の演技が記憶に色濃く残っている。
年月が経過した感情はより複雑だ。憎悪も自責も諦観も時が変質させる。そんな苦悩を段田は魅せてくれた。