「二枚目俳優はコメディ不利」を覆した7位、8位
8位 市原隼人『おいしい給食 season2』(テレビ神奈川など)
すでにプレジデントオンラインでも書いたが、突き抜けた変人っぷり、全身全霊で給食のみ愛する教師・甘利田幸男になりきった。市原が生まれもった外連味をこんな形で昇華させる日がくるなんて。
7位 岡田将生『大豆田とわ子と三人の元夫』(関西テレビ系)
欠如が魅力的な人物しか登場しない名作の中で、光ったのは「しんしん」こと岡田だ。
「それって、いる?」で場の空気を凍らせたり不快にさせるのが特技。容姿端麗のメリットをすべてデメリットに。
でも、視聴者は誰一人ムカついていない。むしろ、とわ子への愛がどんどん深まるのを応援する気持ちにさせたし、劇中で最も変貌を遂げた(精神的成熟)人物だ。二枚目が不利なコメディでの健闘を称える。
物語の背景を下支えするバイプレーヤーたち
主演、あるいはメインクラスの俳優陣が目に焼き付くのは当然と言えば当然のこと。
出番も見せ場も多い。ポスターなどのメインビジュアルを飾るため、作品と一緒に記憶にも残る。一般的にドラマに関する記事は、メインの人物もしくは制作陣を書くことが多い。
各局ドラマのホームページにはたいてい、キャストあるいは登場人物、さらには相関図が掲載されているが、そこに載らないような人物もいることを忘れてはならない。
物語の背景を下支えする俳優がいて、もっと評価されるべき演技がある。
ということで、6位は……。
6位 酒向芳『リコカツ』『最愛』(TBS系)、『青天を衝け』(NHK)
『リコカツ』では瑛太の父親役。夫唱婦随が当然という思考の元自衛官役もしっくりきた。上背のある親子DNAも完璧だったし、「是非におよばず!」なんて言葉使いと言い方も、「この親にしてこの子!」と思わせた。
一方、『最愛』では失踪した息子(朝井大智)を15年間探し続けた父親を演じた。息子は白骨遺体で見つかり、真相を追うも10日後に殺される役だ。苦悩の年月と無念を瞬間で見せつけた。
また、『青天を衝け』では百姓を見下し、威張り散らして年貢を取り立てる憎たらしい代官(岡部藩代官・利根吉春)役。
どの役も難あり人物だが、物語の根幹や主人公の背景を担う、重要な役だ。酒向は密かに大役をまっとうした、と思っている。
5位 迫田孝也『天国と地獄』(TBS系)
綾瀬はるかと高橋一生の入れ替わりが話題になったが、キーパーソンとして驚かせたのは迫田。
軽妙な世捨て人と思いきや、ことごとく不遇な人生。猟奇的ではなく切なさとやりきれなさを前面に出した迫田には、つい思いを寄せてしまった。