2021年に日本国内で放送・配信されたドラマで、評価するべき俳優はだれか。ドラマ偏愛コラムニストの吉田潮さんは「2021年俳優ランキング」を作成した。第1回は男性部門ベスト10――。(第1回/全3回)
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脱・定番に力を入れた印象のある2021年のドラマ

コロナに五輪に衆議院選挙。ドラマ枠が案外あおりをくらった1年だが、各局が「脱・定番」に力を入れた印象がある。そんな2021年の国内ドラマ(地上波、BS、WOWOW、Netflix、アマゾンプライム)を視聴した中で、俳優の演技を勝手にランキングにしてみた(暴挙)。

男性部門ベスト10、女性部門ベスト10、さらには男女混合のワースト10を全3回でお届けする。

若手で出演数が少なくても、ハッとさせて心奪う芝居をみせた俳優には「新人賞」を。ランキング外だが、演じた役≒本人という残像と強烈な印象を残した俳優には「特別功労賞」を。男女それぞれで選定している。

数字や数値の根拠は一切ナシ。すべては観たときの興奮と感動の度合いで、偏向はなはだしく超主観的であるため、あしからず。まずは男性部門から。

10位 染谷将太『麒麟がくる』(NHK)

「マザコン」という要素で新たな織田信長像を築いた功績を称えたい。

母に愛されたいという承認欲求から横暴な行為を敢行、母の寵愛を受けていた弟に毒を盛ったりしてね。どこか寂しげな印象も強い。

「儂は~」を「ぅわしぅわ~」と発音するのも精一杯の強がりのように見えて。自害シーンも含め、新鮮な信長像を堪能。

9位 山田孝之『全裸監督2』(Netflix)

シーズン1では昭和末期、アダルト業界全盛期の狂乱を描き、山田は村西とおるの破天荒な魅力、つまり「光」を演じきった。

シーズン2は一転して「陰」。メンタル強靭な狂人っぷりは変わらないが、玉山鉄二・満島真之介・森田望智ら、共に走ってきた仲間たちから愛想をつかされ唾棄される存在へと、舵を切った。切りまくった。視聴者も辟易するほどの身勝手さに徹した。主演の引き算は功を奏した。