省エネで世界の優等生になる

ビルやマンションのエレベータも、スピードを遅くするだけで省エネ効果が大きい。電力消費が激しい高速エレベータを禁止するなど規制による省エネもある。

店舗、工場、家庭の照明をすべてLED化するのも効果が高い。LEDへの交換に補助金を出し、期日までに交換しなければ罰金をとるなど普及促進の方法もある。飲食店が新型コロナ対策に対応しているかを検査するように“LED警察”が調べてまわればいいのだ。実際、アメリカなどでは“LED警察”が機能している自治体もある。

また、日本の家屋は熱の漏れが大きく、冷暖房の効率が悪い。特に窓ガラスから逃げる熱が多いので、ドイツで普及している遮熱フィルムを貼るようにする。エアコンの消費電力は半分ほどになるはずだ。

現在の日本は成長国家でなく、人口減少も進んでいるから、国全体のエネルギー消費は減らしやすい。さらに省エネ技術で1人当たりのエネルギー消費量とCO2排出量を減らせば、間違いなく世界の優等生になる。たとえカーボンニュートラルが達成できなくても、文句を言われる筋合いはない。

問題が残るとしたら、自動車とトラックぐらいだろう。もし私が為政者なら、ここは“とぼける”。つまり、できるだけ長くハイブリッドカーでいくということだ。

日本のハイブリッド技術はずば抜けている。トヨタを筆頭に日本メーカーのハイブリッドカーは、外国車に比べたら別次元の効率だ。世界最強だろう。

日本のハイブリッドカーは、プラグインで充電する必要がない点もいい。低速のときは電気で走り、高速になるとエンジンで走りながらバッテリーに充電していく。ガソリンを燃やすのは確かだが、プラグインで充電するタイプでも、おそらく半分ぐらいは化石燃料で発電した電気を使うことになる。CO2を出す発電所を使うという点では完全EV化でも同じなのだ。

途上国には、この「日本モデル」を日本の負担で提供してもいい。2040年くらいになれば省エネとハイブリッドの技術で、日本は低炭素の優等生として世界から尊敬を集めるはずだ。

(構成=伊田欣司 写真=時事通信フォト)
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