車体設計の“哲学”と自動走行技術の見事な連携
今回、同乗者としてEDSSを一般道路で体験し、早期に普及させるべき技術であることが再確認できた。体調が急変したドライバーや同乗者だけでなく、進行方向にいる他車や歩行者など、他の交通参加者の命も守れるからだ。
その上で、MAZDA CO-PILOT CONCEPT2.0の音声を通じたきめ細やかなHMIへの理解も深まった。さらにマツダが長年こだわり続ける、人の感覚に寄り添う車体設計の“哲学”と、人が運転しているかのような“自動走行技術”の見事な連携も新たな発見だった。
一方で、EDSSの一般道路における規定では、作動上限の緩和(現状60秒かつ150m)が必要になると実感した。混雑した道路環境ではタイムアウトとなり、せっかく路肩への退避制御や能力があるにもかかわらず、その場で停止せざるを得ないシーンが考えられるからだ。
合わせて、EDSSの作動上限緩和が進めば回避できる事故シーンが増えることから、車両保険の支払額が低下し、社会的損失度の低下から自動車保険の保険料値下げなども期待できる。事実、先進安全技術の普及から2022年以降、平均して5%程度引き下げられる。そんな部分にまで思いを馳せた。
快適さだけではなく、リスク低減のための技術
高度運転支援技術やその先の自動運転技術には大いなる期待が寄せられている。一方で、ステアリングから手を放すこと、カーナビやDVD観賞をすることが自動運転の活用方法としてクローズアップされているのも事実だ。
しかし、それらは快適な移動をサポートする上で得られた副次的な効果である。それよりも、身体の不自由な人や高齢者であっても、すべての人がリスクを遠ざけながら移動できる、それを支える手段として自動運転技術が昇華されると社会受容性の高まりが早まるのではないか。
個人的には、ドライバー主体の運転操作で移動を楽しみながら、万が一の際にはEDSSによる自動停止機能により危険が回避できたり、また自身の判断で自動運転のスイッチをオンにして快適な移動がサポートされる社会が訪れたらいいなと考えています。