たとえば、歩行者は歩道を歩かなければいけないというルールがあって、子どもがそれを守っていないときは、「自分がケガをしてしまうからやめなさい」と注意をします。

車や自転車に迷惑をかけるという表現をしません。他者を優先する物言いはしないのです。そして、子どもがやったことに対して、親が良いか悪いかという判断をするのではなく、どうしてそのようにしたのかを聞いたり、説明させたりすることで、必ず子どもの気持ちを優先します。

人に危害を加えたり、子どもに危険が差し迫ったりしていない限り、親や大人は、決して上から「ダメ出し」をしないのです。

社会的な面からも、子どもを規制しない

そもそも、ドイツでは子どもは社会的に優遇される立場にあります。たとえばドイツには、「Ruhezeit(ルーウェツァイト/静かにする時間)」という規則があります。

キューリング恵美子『ドイツ人はなぜ「自己肯定感」が高いのか』(小学館新書)
キューリング恵美子『ドイツ人はなぜ「自己肯定感」が高いのか』(小学館新書)

地域や住居により若干異なりますが、昼の13時から15時、22時から早朝6時までは、掃除機の音や騒音を出さないように注意する規則です。

しかし、子どもや乳児の声は例外として許されています。

園児の遊ぶ声がうるさいと幼稚園にクレームが入る日本とは大違いです。

エレベーターや電車に乗る際も、役所や病院の行列で並んでいるときも、小さな子ども連れは優先されます。

子どもと一緒に肉屋に行けば、子どもは無料のハムを必ずと言っていいほどもらえます。ドイツでは、あちらこちらで子どもはVIP扱いなのです。

こういった社会的な面からも、子どもを「規制」や「束縛」によって締めつけるのではなく、のびのびと自由に育てようとするドイツ全体の考えが見て取れます。

日本では、公共の乗り物に乗る際にも、人ごみに乳児を連れていくにも、声を出さないように、泣かないようにまわりに気を遣わなければなりません。

ベビーカーを電車に乗せたお母さんが肩身の狭い思いをしていると聞くと、ドイツとは真逆で信じがたい思いです。

生きづらさやストレスを感じ、苦しい思いを抱えている方々は、もしかしたら、小さいころから親や先生の言いつけをしっかり守ってきた真面目な人なのではないでしょうか。

それが現在に至るまで続き、自分で自分を縛ってしまっているのではないでしょうか。

まわりの目や評価を気にしてしまう思考習慣を、すぐに変えるのは難しいかもしれません。

でも、そんな縛りは絶対に変わることのないルールではない、という「気づき」さえ得られれば、少しずつでも、自分のことを自分で肯定できるようになってくるはずです。

私自身がそうでした。私にもできたのだから、あなたにだってきっとできるはずです。

自分のことを、もっともっと肯定してあげましょう。

自分の思いを押し殺さず、「他人の迷惑」なんて気にしないで、あなたのやりたいことをやりたいようにしてみましょう。子育て中の方も、子どもたちがのびのびと育つように、「他人に迷惑をかけるから」の言葉を封印してみてはいかがでしょうか。

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