例えば、みなとみらい線は沿線に元町や中華街など魅力のあるスポットがあり、人を呼び込む求心力、拠点性がある。そのため、開業によって遊びに来る人、住みたい人が増え、それが価値上昇につながった。しかし、日暮里・舎人(とねり)ライナーのように、新線ができても遊びに行きたいと思う人、住んでみたい人があまり増えない場合、沿線の価値も上がらない。
首都圏で今後の価格上昇が期待できるのは、開業したばかりの横浜市営地下鉄グリーンラインと東京メトロ副都心線。特にグリーンラインは東急東横線日吉に連絡しており、横浜、都心と二方向にアクセスできる点がメリットで、株でいえば店頭公開はしたものの、まだ投資家に注目されていない状況。沿線には開発の余地が残されており、景気動向次第では大化けする可能性がある。新線に加え、相互乗り入れも価値アップ効果が高いのだ。
また、2013年度の東京駅への延伸で便利になる常磐線、高崎線にも注目したいところ。これまで都心へのアクセスが悪かった柏、松戸あたりが再浮上する可能性がある。15年あるいは20年後になるかもしれないが、山手線田町~品川間に新駅をつくるという構想もあり、実現すれば湾岸エリアのリセールバリューを下支えするかもしれない。
10年7月には北総鉄道北総線の成田延伸も予定されているが、拠点性に乏しいことから、こちらは期待薄。郊外の場合、いくら新線、相互乗り入れで都心直通となっても、ドアツードアで1時間以上かかる場所での新線、新駅では過大な効果は期待できない。
※すべて雑誌掲載当時
(構成=中川寛子 撮影=松田健一)