味は甘さ控えめでさっぱり系
Little Moonsでは、バニラ、ピスタチオ、チョコレート、ストロベリーなど西洋人が好むクラシックなフレーバーを中心に、現在13種類の餅アイスを提供している。加えて限定商品も随時投入していく予定で、今年の夏はフィッシュ&チップス味を含む3種を発売して話題を呼んだ。
小ぶりの大福大の餅アイスは6個入りで約5ポンド(約760円)。1個80ペンス(約125円)の計算だ。柔らかいぎゅうひの食感と、フレーバー重視の滑らかなアイスクリーム餡のコンビネーションは、初めて食べる人にはかなりユニークな体験であることは間違いない。
味わいはかなりナチュラル。さっぱり系とさえ言ってよく、甘さ控えめ。砂糖たっぷりのスイーツを好むイギリス人が満足できる味なのかは不明だが、Z世代の舌が変化してきているのかもしれない。
先に登場したNobuエグゼクティブ・パティシエのレジスさんは、こう分析している。
「餅の歯ざわりは、西洋人にはとても特殊で初めて食べる人には驚きを与えるでしょう。ロンドンはコスモポリタン・シティで、当レストランに来られるお客さまは新しい味に対して非常にオープンな方が多く、それも餅アイスがすぐに受け入れられた土台になっていると思います」
餅アイス=餅と早合点する人も?
餅アイス・ブームの報道記事を手当たり次第に読み進めていると、MochiがMochi ice creamと同じニュアンスで使われている場合も多々あり、ドキリとさせられる。
イギリスでは日本式カレーがカツなしでも「カツカレー」と呼ばれるようになってしまった経緯があり、どうしても言葉が一人歩きしてしまう傾向にある。このことはプレジデントオンラインの記事「イギリス人がカツのないカレーを『カツカレー』と呼ぶようになった驚きの理由」(2021年9月17日配信)でも書いた。餅アイスのことを餅と早合点してしまう人も出てきそうだが、日本文化の普及のためと思って今後の展開を見守るしかなさそうだ。
何はともあれ、TikTokで日本のスイーツが大ブレイクである。この現象に意味があるとしたら、これまで和食レストランなど行ったことがなかった餅バージンのZ世代に、幅広く餅文化が浸透したという点だろうか。
彼らが成長して家庭を持ったとき、餅アイスは日常的に家族全員でいただくスイーツの定番になっているかもしれない。餅アイスは今、まさに世界中で市民権を得るべくその歴史をスタートさせている。