ドーナツからクッキーまで幅広い商品展開

このように、餅アイスはイギリスでもアジア系レストランに出入りする人ならよく知るスイーツだが、今回の大ブレイクで餅そのものへの興味も高まっている。

今年5月、ロンドン中心部にある日本食材店ジャパン・センターに、英国初のMochi Barが誕生した。店舗1階のフロントに登場しているMochi Barは、餅アイスだけでなく餅粉ドーナツ、餅粉クッキー、大福、餅粉パンなど、餅粉を使った菓子類に特化して販売している。日本の技術で作る独自商品は毎日作りたて。餅アイスの人気急上昇も手伝って、メディアでの注目度は高い。

ピカデリー地区に新しくできたジャパン・センターのMochi Bar。
筆者撮影
ピカデリー地区に新しくできたジャパン・センターのMochi Bar。
飲み物はタピオカ・ティーなどを扱う。
筆者撮影
飲み物はタピオカ・ティーなどを扱う。
日本の伝統フレーバーを扱うジャパン・センターの餅アイス。
筆者撮影
日本の伝統フレーバーを扱うジャパン・センターの餅アイス。

餅人気にさらに拍車をかけそうなもう一つの理由として、アレルギー対策がある。小麦粉に含まれるグルテンに対するアレルギーや不耐性を持つ人たちにとって、餅菓子は安心して食べられるスイーツなのだ。特にアレルギー症状が出がちな小さな子どもたちにとっては見た目もかわいいスイーツとして、またチョコレートよりもヘルシーなおやつオプションとして選ばれていく可能性も高い。

花形のシェイプが目を引く餅粉を使ったドーナツはオススメの品。多種類のフレーバーを取りそろえている。
筆者撮影
花形のシェイプが目を引く餅粉を使ったドーナツはオススメの品。多種類のフレーバーを取りそろえている。
通常の大福餅も人気。
筆者撮影
通常の大福餅も人気。

なぜ餅アイスは愛されるのか

結局のところ、餅アイスの何がZ世代のTikTokユーザーを引きつけたのか。

背景には、イギリス人を含む西洋人が老若男女を問わず無類のアイスクリーム好きという事実がある。デザートの定番であるのはもちろん、おやつとしてもとにかく大変人気が高い。イギリスでは冬でも晴れればアイスクリーム日和である。

ほかには「一口大のポップなアイスクリーム」というイギリスでこれまで一般に見かけなかった商品であることも要因だろう。目新しさ、かわいらしさ、1個100キロカロリー以下のヘルシーさ、そして試食する様子が動画映えするといったことが、人気の理由なのではないかとにらんでいる。