ビジネスモデルはユニクロに似ている
シャトレーゼが絶好調です。ロードサイドでみかけるあのワイン色の屋根のお菓子屋さんです。売上高は10期連続の増収で、一昨年から始めた都心業態のYATSUDOKIも顧客の心をつかんでいます。読者のみなさんもシャトレーゼのアイスクリームや焼き菓子がお好きな方は多いのではないでしょうか。
コロナ禍でも躍進を続けるシャトレーゼの秘密とは何なのか。そしてシャトレーゼの今後に死角はないのか。経営コンサルタントの視点で分析してみたいと思います。
さて、最初にシャトレーゼがどのような会社なのか、シャトレーゼをご存知ない読者の方にもわかるように説明したいと思います。工場直営のお菓子屋さんで、お店で売っているお菓子はアイスクリーム、焼き菓子、和菓子からケーキまで約400種類。最大の特徴は「おいしいお菓子が安い」こと。人気のアイスクリームは1本あたり64円ですし、田舎パイやシャトーレザン、フィナンシェといった焼き菓子も価格はおおむね100円前後とお値打ちです。
「お菓子業界のユニクロだ」と言うと理解はしやすいかもしれません。ビジネスモデル的には一見ユニクロに似ています。ユニクロは他の多くのアパレル企業と違って自社で商品を開発し自社店舗で売ります。卸や小売店を介さない分、買いたたかれたり、生産見込みと需要予測を見誤ったりといったことが起きにくい。そしてとにかくよい商品を安い価格で提供できる。似ているのはこの点だけですが、ビジネスとしての外見はシャトレーゼとユニクロは確かによく似ています。
お菓子を安く提供する「5つの条件」
シャトレーゼでなぜおいしいお菓子を安く提供できているのか。まずこのビジネスモデルの秘密を解明してみましょう。
お菓子を安く提供するビジネスモデルは論理的には5つあります。
①安い材料を使う
②安く仕入れられるように取引先から買いたたく
③おいしくて安い商品設計をする
④安く製造できるように生産ラインを工夫する
⑤サプライチェーン管理をしっかりしてロスの発生を防ぐ
世の中の大半の大規模小売業は①と②に力をいれます。たとえばメーカーに対して、
「店頭で78円で販売できるシュークリームを作りなさい」
と圧力をかけるわけです。「作れないなら他をあたるから」と言われ、力関係が弱くて安く買いたたかれるメーカーは、利益を削り、安い材料や本物に見えるイミテーション原材料を使ってなんとか大手チェーンからの要望をクリアできるようにする。これが世の中の安い商品の基本です。