大容量200mlに合わせた味設計
シリーズ累計販売数55億個以上の国民的人気アイス「エッセル スーパーカップ」。アイス業界の専門メディア「アイスクリームプレス」の調査によれば、2020年度のエッセルブランドの年間売上高は274億円で業界1位に君臨している。
私も「エッセル スーパーカップ」の虜で、毎日最低6個は食べている。
明治 フローズン・食品マーケティング部 フローズンデザートグループの吉岡征史さんに、なぜ27年にわたって味作りとブランドコンセプトをぶらさず展開し続けられてきているのか聞いた。
――味へのこだわりを聞かせてください。
【吉岡さん】大容量(200ml)のカップアイスを最後まで楽しんで完食していただくため、キレのよい後味を出すにはどうすればいいか試行錯誤しております。
試作品を何個も作り、植物油脂の配合や卵黄との最適なバランスを追求しました。
――大容量ありきの味設計なのですね。
【吉岡さん】はい。ですが最初から大容量だったわけではなく、「エッセル」ブランド誕生当時(1991年)の容量は150mlで、その頃カップアイスで主流だった落しぶたスタイルでした。1994年にかぶせぶたスタイルに改良し、ノベルティ商品では異例の200mlの大容量カップアイス「明治 エッセル スーパーカップ 超バニラ」が誕生しました。
――100円カップアイスは150mlが主流だった時代に、200ml容量の登場は衝撃的でした。「かぶせぶた」スタイルを採用したことで、見た目のボリューム感が際立ちましたね。この商品の発売後、他社でも200ml容量のカップアイスが次々と発売されました。1990年代半ば以降、アイス業界では大容量カップアイス戦争が勃発していたんです。明治はカップアイスの新しい歴史を作ったと言っても過言ではありません。
しかし、100円の価格設定は今考えると無理があったのではないでしょうか。価格が据え置きにもかかわらず、容量が少なくなっていることはよく聞く話ですが、価格を据え置きにして、容量を増やす商品は当時としてはとても衝撃でした。