過去には数々の「失敗作」もあった
【吉岡さん】発売後、当時の心配をよそに、売り上げは初年度からカップアイスのトップを快走することとなりました。
1996年に食品ヒット賞、日経優秀賞をダブル受賞し、発売後9年で累計10億個、2012年夏には累計34億個を突破。その後も堅調に売り上げを伸ばし、大容量カップアイスの定番の地位をゆるぎないものにしてきたからこそ、この200mlという容量は必ず守り続けていきたいと考えています。
――「エッセル スーパーカップ」はさまざまなフレーバー展開も魅力です。新フレーバーの開発において、ベンチマークにしている市場はありますか。
【吉岡さん】エッセルブランドでは、あえて世の中のトレンドは追いかけていません。
例えば、スーパーやコンビニの棚は、季節の変わり目になるとその年のトレンド商品が彩ります。近年ではレモネード、バナナジュースやタピオカ、イタリアの洋菓子マリトッツォが流行しましたが、それらのトレンドにとらわれず、「エッセル(スーパーカップ)ブランドとしてお客さまに愛されるフレーバーは何なのか」を大切にしています。
――つまり、それは過去にトレンドにとらわれて失敗したことがあるのでしょうか。
【吉岡さん】そうです。例えば、05年2月に発売した「小倉」は当時人気のフレーバーでしたが、エッセルのターゲットに合わず苦戦を強いられました。また、07年11月に発売した杏仁豆腐味も、当初アジアンスイーツとして人気を博していたので採用しましたが、人気は出ませんでした。
また、毎年夏には期間限定でヨーグルト風味のさっぱりとしたフレーバーを出していますが、20年に発売した白桃ヨーグルト味や、冬の期間限定フレーバーとして初登場したほうじ茶クッキーは、ターゲットが狭く売り上げとしては振るいませんでした。
多くて年間6アイテムの新フレーバーが誕生
今までトータルで60種類のフレーバーが誕生してますが、今までの傾向を見ていると“カフェオレ&クッキー(05年)”、“クッキーバニラ(08年)”など具材が入っている定番のフレーバーが好まれているようです。コアなファンがついているのは、とがったフレーバーの代名詞である“チョコミント”(02年夏)で、今もお客さま相談センターに再販売の問い合わせが絶えません。
最近面白いと思ったのは、SNSがキッカケで“紅茶クッキー(19年)”の売り上げが伸びるなど、何がきっかけで火がつくかわからないことです。今後もニッチになり過ぎず、お客さまファーストでブランドにマッチした味作りに専念します。
――新商品はどれくらいのサイクルで、年間いくつ出していますか。
【吉岡さん】「エッセル」全体で、多くて年間10アイテムを発売しています。「エッセル スーパーカップ」では半期で3商品、高価格帯の「エッセル スイーツ」では半期で2商品です。
――定番フレーバーの超バニラ、チョコクッキー、抹茶が売り上げ1~3位を占めていますよね。それにもかかわらず、次々と新商品を出す狙いは何でしょうか。