仕事が仕事を生む好循環を作るために心がけたこと

その狙いは、もちろん自己PRです。テレビ業界では僕の名前はそれなりに知られていましたが、業界外では無名です。放送作家の仕事だけならそれで十分ですが、広報PRコンサルタントで成功するには、業界外に名を売る必要がありました。

ですから業界外に向けて、野呂エイシロウという「放送作家」と「そのノウハウを活かしたメディア広報の担い手」を広くPRしたのです。

ブログの読者が増え、ほかのサイトでも紹介されるようになり、企業の広報担当者の目に留まるようになると、僕が営業をしなくても「相談に乗ってほしい」という依頼が舞い込むようになりました。

商品やサービスがテレビに露出することの宣伝効果は大きく、企業全体の業績にも影響しますから、実績を挙げていれば経営者や事業部門トップの役員と会う機会も生まれます。

トップとのコミュニケーションを通じ、メディア広報だけでなく商品開発やブランディングのプロジェクトにも関与する仕事が増えていったのです。

新しいビジネスを経験したら、その経験をブログで広めていくことで「野呂さんっていう人は、そんな実績もあるのか」と広く知られ、さらに新しい領域のビジネスに挑戦する機会を得る好循環ができていきます。

僕の仕事は、テレビという影響力の強いメディアが背景にあり、特殊といえば特殊かもしれません。ですが、僕自身の自己PRにおいては、テレビの影響力と権力に甘えた覚えはありません。「自分の言葉ひとつ、表現ひとつが相手にどんな印象を抱かせるか」をつねに考えながら、継続的に発信し続けてきました。

「昨日は赤坂に」「このあとフジテレビへ」で自分を装う

人は、服装や持ち物を含めた見た目や雰囲気から相手の情報を無意識に探っています。「優しそう」「怖そう」という性格を探るのと同じように、「自信がありそう」「羽振りがよさそう」といった情報もしっかりとキャッチしています。

ですから、見た目や雰囲気をうまく使い「売れっ子」を演じることが、あなたの仕事への評価や期待値にも大きく影響するのです。

さらに、見た目や雰囲気だけでなく、「自分は売れっ子である」ということを、日々のちょっとした言動でも徹底して表現していきましょう。

笑い話のようなネタですが、僕は放送作家になった駆け出しの頃、よく「昨日は赤坂にいました」とか「このあとフジテレビなんですよ」といっていました。

東京の街並み
写真=iStock.com/kanzilyou
※写真はイメージです

テレビ業界では、赤坂といえばTBSを指します。実際は、ただ赤坂で飲んでいただけなのですが、言い方ひとつで周囲が勝手に「TBSでも仕事しているのか。売れているなあ」となります。また、フジテレビにもただ知人と話しに行っただけですが、「フジテレビの仕事もあるのか、すごいな!」となるのです。

僕のこのやり方は、もはや「嘘ではない」というだけで、バレたら評価の下がるグレーゾーンのハッタリですが、ありかなしかでいえば、「あり」だと思います。