※本稿は、野呂エイシロウ『副業は、自己PRがすべて。』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
「自信満々の人」の意見はよくとおる
「結果を出す」──。
それがビジネスで成功するために必要なのはあたりまえのことです。でも、結果は一生懸命に働くだけでは手に入りません。
例えば放送作家の現場では、出すアイデアがいくらよくても「採用されない人」はたくさんいます。なぜかというと、「いいアイデアを出しそうな人」に見えないからです。
ヨレヨレのTシャツを着て、なおかつ寝不足の表情……。そして自信なさげにアイデアを語る姿は、「アイデアを拾ってもらえたらラッキー」という下手に出た感じに見えます。自分のアイデアの価値をわざわざ自分で下げているのです。
そういう姿を見るたび、「せっかく能力があるのに、もったいないな」と思ったものです。
社会人経験がそれなりにある人ならば、誰でも知っているはずです。「自信満々の人」の意見はよくとおるし、「デキる雰囲気の人」の意見もよくとおるということを。
だから僕は、放送作家の駆け出しの時代から「売れている雰囲気」を大切にしました。フリーランスの放送作家だったので、僕の実績を誰も詳細には把握することができません。
「野呂は最近、仕事が結構入ってるんだな」と思わせれば、「そんな人間がそれだけ自信満々にいうのだから」という説得力が加味されて、アイデアが採用されやすいのです。
良い印象を意図的につくり一目置かれる
Tシャツ姿の放送作家が並ぶ企画会議に、僕はブランドもののジャケットを着て臨みました。靴や時計にもお金を惜しまないうえ、乗る車は中古のベンツ。本当は最近お手頃価格で買ったのに、「もう長年乗って古くなったんですけど、愛着があって乗り替えられないですね……」なんていっていたわけです。
するとまわりの人のあいだでは、「へえ、野呂はまだ若いのにベンツに乗っているのか。それなりに稼いでいるんだな。きっといい企画をつくれるんだろうな」と噂がひとり歩きしていきます。
そうした、「野呂は売れている」という印象を意図的につくり、一目置かれるための自己PRを展開したのです。
いわば「ハッタリ」なわけですが、そもそもアイデアがおもしろくなかったり、会議に遅刻したりするような人間では、そんなハッタリはききません。自分の「いい仕事」を正しく、「いいもの」として受け取ってもらえる努力をしたのです。
あなたに対する印象は他者が決めることですが、その判断材料を提供しているのはあなた自身です。自らが提供する「印象」の判断材料を、自分にとって有利になるようにコントロールしていくことを忘れないようにしてください。