若手社員を育てるにはどうすればいいのか。良品計画前会長の松井忠三さんは「無印良品のすべての新入社員は、入社から約3年で店長になる。早くに責任を負う立場となることで大きく成長できる」という――。

※本稿は、松井忠三『無印良品の教え』(角川新書)の一部を再編集したものです。

2020年4月、中国・上海の無印良品フラッグシップ店
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若者が早期離職をする理由

入社して3年以内で会社を辞めてしまう若者が社会問題としてとりあげられてから、若者を定着させるための取り組みをしている企業が増えてきました。

企業はコストと手間をかけて、新入社員を育てます。入社3年といえば、ようやく独り立ちできるぐらいになった段階です。これで責任のある仕事をどんどん任せられると思っていた社員が出て行ってしまうわけですから、入社3年以内の早期離職は企業にとっては大きな損失です。

私たちはこの問題に、どう対応していけばいいのでしょうか。

それにはまず、「なぜ若者は早期離職をしてしまうのか」という理由を明らかにしていかなければなりません。

理由はさまざまあると思いますが、第一に考えられるのは、理想と現実の違いを知る、いわゆる「リアリティ・ショック」です。

新社会人は、希望や理想をもって会社に入ってきます。しかし、現実の会社というのは、一見すると矛盾だらけの中で動いているものです。また、やりたい仕事があっても、そう簡単にやらせてもらえるほど会社は甘くはありません。厳しい現実を突きつけられて、「自分が想像していた世界と違う」「自分にはもっと向いている仕事があるのではないか」と考えてしまうのです。