社内からも批判が起こり、責任者がグーグルを去る
グーグルプラスは2011年6月28日にサービスを開始します。当初は招待制でユーザーを絞りましたが、8月20日には一般公開を開始し、そして10月13日には登録数は早くも2500万人に達します。同年12月には、まだ浸透度が低かった日本市場においても、人気アイドルグループAKB48がグーグルプラスを使った情報発信を開始し、話題を集めました。そして、2011年末までには登録数9000万人に到達。フェイスブックに対抗するSNSとして存在感が一気に高まります。
この勢いを得て、グーグルは当初の狙い通り、より各プロダクトとグーグルプラスの連携の強化を図ります。具体的には、2012年1月に、グーグルプラスのアカウントがないと、Gmailを使えないように変更しました。
しかし、こうしたグーグルプラスと各サービスとの連携強化に向けた動きに対して、ユーザーのみならず社内からも批判が出るようになります。2012年2月、グーグルでエンジニアリングディレクターを3年間務め、グーグルプラスのAPIやテストツールの開発を率いた責任者のジェームズ・ウィテカーがグーグルを去ります。ウィテカーは同年3月、「なぜ私はグーグルを去ったか」というブログにおいて、グーグルの経営方針をこう批判します。
トップダウンの開発体制に不満が起こった
「ラリー・ペイジ(当時CEO)は間違った命令を下してしまった。フェイスブックに対抗するため、全てソーシャルでなければならないと考え、検索、Gmail、ユーチューブ、さらに悪いことに、技術革新までソーシャルであるべき、と命じた。(中略)グーグルは、1つのこと(=グーグルプラスとの連携)が義務付けられた広告会社になっていた」
「私はグーグルプラスのためにたくさんのコードを書いた。しかし、グーグルプラスに(私の)10代の娘がいるかどうか、2度探したが、見つからなかった。フェイスブックから人々は流出しなかった。人々はフェイスブックの中にいるのだ」
つまり、自由な開発体制こそが売りだったグーグルがトップダウンでソーシャル化への機能連携に舵を切ったという経営方針に対する不満と、それにもかかわらずフェイスブックには程遠いユーザー数にとどまっていることに対して内部で不満が高まっていたのです。
その後2013年9月、グーグルは引き続きグーグルプラスとの連携を強め、ユーチューブとの統合も図ります。ユーチューブにコメントをしたい場合には、グーグルプラスのアカウントを必要としたのです。