米英独は違法化で消費者を守っている
ステマレビューによって被害を受けるのは、高評価を信じて時に粗悪品を購入してしまう消費者だ。アマゾンに限らず、ネット上にあふれているステマは規制されないのだろうか。
ステマ対策は国ごとに異なっている。たとえば米国では、2009年に「広告における推奨及び証言の利用に関する指導」が改訂され、ステマは違法と規定された。PR活動において、広告主との関係や金銭授受の有無を公開することが義務付けられているのだ。
ヨーロッパでも、英国では2008年に不正取引からの消費者保護に関する規制法が施行され、ステマは違法と規定されているなど、違法とされることが多い。これはドイツでも同様で、消費者に広告と気づかせない方法で商品紹介サイトへ誘導する行為は違法とされる。違法となることで、ステマ投稿が減ることは間違いないだろう。
一方日本では、景品表示法や軽犯罪法に該当すれば違反とされるものの、ステマ自体を規制する法律は存在しない。WOMマーケティング協議会のガイドラインにより、広告主とインフルエンサーの関係を明示することとされているのみだ。投稿内に「#PR」「#タイアップ」など明記する必要があるとされるが、あくまで自主規制であり、ガイドラインに違反しても罰せられるわけではない。
ディズニー作品でもステマが常態化か
執筆現在、検索サイトで「ステマ」と検索すると、関連キーワードとして「ディズニー」「フジ」「アナウンサー」などが表示される。
ディズニーとは、2019年末の「アナと雪の女王2」に関するステマ事件を指すと考えられる。ほぼ同時刻にTwitterで複数の漫画家によってレビュー漫画が投稿されたが、広告という表記がなかったため、ステマと疑われたのだ。その後漫画家らは、投稿が企業から依頼されたPR広告だった旨を説明のうえで謝罪している。
「フジ」「アナウンサー」とは、今年4月、フジテレビの女子アナたちのInstagramにおける美容室に関する投稿がステマだった疑惑を指すと見られる。当事者として名前が挙がった女子アナたち9人は後日、謝罪している。
さらにディズニーを巡っては、過去にアベンジャーズやキャプテン・マーベルでも同様に同時刻に複数の漫画レビューが投稿されていたことが明らかになるなど、ステマが常態化していたらしいこともわかっている。