公務員が「視察旅行」として「艶会」を行う

このような宴会に旅行会社時代、何度か添乗員として同行した。中には公務員の視察旅行もあった。翌朝、ホテルのフロントで会計を済ませながら、旅行代金と同じぐらいの10万円を超えるコンパニオンの花代が税金で支払われるのだろうかとすっきりしない気持ちになることもあった。

当時は、男性はどうしてこんな「艶会」に大金を払うのだろうといつも疑問だった。

あの頃は、バブルは弾けたとはいえ、まだ日本には元気があったから、そんな娯楽も盛んだったのだ。

コロナで大打撃を被った温泉地のストリップ劇場

「1日に、お客さんが1人しかいない日もあるんです。このままでは劇場の存続も難しいかもしれない。困っています」

北陸に唯一残るストリップ劇場「あわらミュージック劇場」の舞台に立つ、ベテランストリッパーから、そんな嘆きのメールが来たのは、今年、2021年5月のことだ。

北陸の温泉地の主な客は、京阪神から訪れる。新型コロナウイルスの感染者の増加に伴い、兵庫、大阪、京都に緊急事態宣言が出されたことにより、強い影響を受けていた。

私はその数年前から、ストリップに魅せられ、全国の劇場に足を運ぶようになっていた。

現在、ストリップ劇場は、全国に18軒しか残っていない。風営法の関係で、一度閉館すると新たに作ることもできず、ただ消えゆくのみだ。

最近は女性客が増えて、賑わっているようにも見えるが、新型コロナウイルス肺炎により、大人の娯楽であるストリップも大打撃を受けた。

ネオンの看板
写真=iStock.com/Konstantin T.
※写真はイメージです

ストリップ劇場は客より踊り子のほうが多かった

私自身も、感染対策がされているとはいえ、一時期、劇場には足が遠のいてもいた。けれど、踊り子からのメールを見て、今年の5月、京都から特急に乗り、あわら温泉に行った。

京阪神からの団体客のバスなど、全く見かけず、旅館も閑散としていた。休業しているところもあると聞いた。

夜になり、えちぜん鉄道あわら湯のまち駅近くの、北陸でただひとつ残る「あわらミュージック劇場」に入る。

客は、3人だったが、途中で1人いなくなり、2人になる。3人の踊り子が舞台に立っているので、客のほうが少ない。

私がストリップに行くというと、昔のイメージのままなのか、「ストリップって、本番するんでしょ」と言ってくる人もいるが、現在の劇場は一切そういうことはない。踊り子には一切触れてはいけないし、何よりストリップの常連たちは驚くほどマナーがよく、親切で、女性のひとり客も多い。

裸にはなるけれど、あくまでサービスするのは彼女たちの芸で、エロティックなエンターテインメントな場だ。