お酒を飲んでいる人はほぼナイアシン不足

なんといっても、まずはアルコールの代謝を助ける栄養素である。

それが「ナイアシン」と「ビタミンB群」「亜鉛」の3つだ。これら3つの栄養素(サプリメント)のおすすめの摂り方は、「飲む前に飲む」である。アルコールが入ってくる前に、準備を万全にして待つというわけだ。それぞれ説明していこう。

・ナイアシン

お酒を飲んでいる人は、ほぼナイアシン不足と思ったほうがいい。ADH(アルコール脱水素酵素)もALDH(アセトアルデヒド脱水素酵素)も、ナイアシンを基質とする補酵素NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)を大量に消費するからだ。

つまり、ナイアシンをしっかり入れておかないと、アルコールをスムーズに代謝することができないのである。

ナイアシンは、アルコール依存傾向がある人は特におすすめだ。ナイアシンのアルコール依存症に対する有効性を報告したのが、先にも触れたオーソモレキュラー療法の生みの親エイブラハム・ホッファー博士と、ハンフリー・オズモンド博士である。

ナイアシンを統合失調症の治療に用いたホッファー博士が、統合失調症でなおかつアルコール依存症の患者にナイアシンを用いたところ、統合失調症の症状はもちろん、アルコール依存症の症状まで改善してしまったのだ。

「飲みたい」という欲求を抑えるナイアシン

ナイアシンを摂ると、「飲みたい」という欲求が抑えられるのである。

あくまでも私の経験上の話だが、ナイアシンを摂ると調子よく飲めるようになるタイプと、適量で気持ちよく酔い、結果的にあまり飲まなくて済むようになるタイプに分かれるようである。

後者であればいいが、前者の場合、調子がよくなってつい飲みすぎてしまった、などということにならないように注意をしてもらいたい。

私の場合、先輩医師がアルコール依存症の離脱にナイアシンを使っていたのを知り、アルコール依存の患者さんに積極的に使うようになった。アルコール依存のほかに、発達障害でこだわりが強いお子さんに使うこともある。ただしその場合、食べ物から摂取するよりもサプリメントを使ったほうが効果的である。

ちなみに、ナイアシンには血管拡張作用がある。そのため、ナイアシンをたくさん摂ると、人によっては、一時的に顔が赤くなったり、上半身にほてりやかゆみが出たりする場合がある。いわゆるホットフラッシュ(ナイアシンフラッシュともいう)である。

サプリメントでナイアシンを摂取する場合は、フラッシュフリー(ノンフラッシュタイプ)のものを摂るといいだろう。あるいはナイアシンアミドといわれているものはホットフラッシュが出にくい。

ナイアシンは別名ビタミンB3といわれ、「ビタミンB群」に含まれる。ならばビタミンB群を摂ればいいのではないかと思われるかもしれないが、アルコール代謝という意味では非常に重要な栄養素なので、ナイアシンとして別に摂取するのが望ましい。

ビタミンB群は連携して働く栄養素なので、ナイアシンとビタミンB群はセットで摂るようにしよう。

ナイアシンを比較的多く含む食材
・カツオの刺身
・豚レバー
・エリンギ
・ピーナッツ など
カツオの刺身
写真=iStock.com/motosuke_moku
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