家の購入、大型家電の買い替え、妊活、子どもの進路、旅行、お互いの両親のことなど大きな決断もさることながら、「何、食べたい?」と聞いた時ですら「任せるよ~」となると、四六時中この言葉を浴びせられている気がしなくもない。

女性から男性に求める像はひと昔前に戻っている

なぜ妻は夫に“任せるよ”と言われると、ここまで憤るのか。夫婦問題研究家の岡野あつこさんはこう分析する。

「コロナ禍で誰しも不安な時代、女性から男性に求める像が『頼りたい』『男らしい』『一家の大黒柱でいてほしい』など、ひと昔前の男性像に逆戻りしている傾向があります。『任せるよ』と大事な決断を相手に委ねるというのは、女性が男性に求めている像の真逆で、ここぞという時に頼りたいのに頼れない。また、一方で『任せるよ』と発する夫からしてみると、相手を立てて、いい事を言っていると思っている。この気遣いと“お前の意見を尊重しているんだぞ”という態度が、妻からしたら頼りなさ以外の何物でもない。なぜ多くの女性が韓国ドラマに魅了されるかといえば、“男性は女性に何かあった時は必ずしっかり助けてくれる”という王道を外していないからです」

ちなみに、4位から10位は以下の通り。

4位 家事するだけなら楽だよね/主婦は気楽でいいよね(専業主婦を見下す)=7.0%
5位 俺より稼いでいないくせに(経済的優位性をアピール)=6.8%
6位 お前さ~(下に見るような呼称)=6.3%
7位 老けたんじゃない? 太ったんじゃない?(容姿への指摘)=6.0%
8位 何でできないの?(能力を見下す)=5.7%
9位・同率10位 味が薄い/まずい/量が多い(料理の味付けボリュームの注文)=4.9%
(家事・育児を)手伝うよ・ゴミ散らかっているよ・ごはんまだ?(家事育児の主体性のなさ)=4.9%

全体の傾向を見て、岡野さんは改めてこう話す。

「男女平等世代からすると、例えば第6位の“お前”という言葉は、妻と夫の立ち位置の問題で、普段から上目線の人から言われるからムカつくわけです。腹が立たない“お前”もありますが、それは信頼関係が元になっている。離婚の危機にある夫婦のグループLINEに私を入れて3人で会話をすることがありますが、今の人は言葉尻で怒ってしまう傾向にあります。夫の“バカだな~”に妻は“バカって言われた! バカって!!!” みたいな感じです。同じ言葉でも相手に愛があるのか、理解し合っているのかで言葉の捉え方が変わってくるのです」

リモートワークやステイホームで家にいる時間が長くなった今、妻は夫が放つ無神経な「一言」により敏感になっていることは間違いないだろう。(AERA dot.編集部・太田裕子)

※この記事はAERA dot.とYahoo!ニュースによる共同企画です。

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当記事は「AERA dot.」からの転載記事です。AERA dot.は『AERA』『週刊朝日』に掲載された話題を、分かりやすくまとめた記事をメインコンテンツにしています。元記事はこちら
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