外見にとらわれない出会いを「設計」する

——マリッシュはユーザーの約7割に離婚歴があり、シングルペアレントも多いということですが、そうした層を最初から狙っていたのでしょうか。

【坂田健一】サービスを立ち上げた当初は、いわゆる「シンママ」や「シンパパ」だけを主なユーザーとして考えて作ったわけではありませんでした。私たちは、30~50代の方にご利用いただけるアプリを目指しています。そして、そういった方々にはバツあり、子育て層が多いのです。

現実に、離婚のご経験は恋愛で足かせになることもあります。多くのマッチングアプリでは、検索で「初婚か、離婚歴があるか」を選ぶ項目があり、ユーザーさんがそこで「初婚」を選ぶと、バツありの人がはじかれてしまいます。そうすると、とてもすてきな方でも、離婚歴があるだけでなかなかマッチできないという課題が生じます。

「マリッシュ」はそこでバツありの人が切り捨てられないよう、丁寧に設計しました。

——たとえば、どういった面でしょうか。

【坂田】特徴的なのは、UI(ユーザーインターフェース)設計です。マリッシュでは、外見に惑わされず、性格で判断していただけるようなサービスにしたいと思っています。そこで、プロフィール文が検索画面でもしっかり読めるよう設計されています。

マリッシュの検索結果サンプル画面
画像提供=マリッシュ
マリッシュの検索結果サンプル画面

——多くのマッチングアプリは、一般的に顔写真が大きく表示されて、プロフィール文はほとんど読めない設定になっていますよね。

【坂田】そうです。多くのマッチングアプリでお相手の候補一覧を見ていただくと、プロフィールが1行だけ表示されることが多いのです。ですが、マリッシュはプロフィールを3行まで見られる工夫をしています。

——確かに、これならお相手の人柄を見ながらマッチングできそうです。

【坂田】30代以上になると、「見た目に騙されず、内面重視で結婚相手を探したい」という方がたくさんいらっしゃいます。「この人は自分の子供を一緒に育てられそう」「この人なら、家事をバランスよく分担できそう」といった、人となりを見ていらっしゃるんですね。

顔では結婚後の相性はわかりませんが、テキストなら個性が出て、判断しやすくなります。そうやって、出会いの機会損失をつくらないデザインを心がけています。

ITに不慣れな人でも触りやすいように

——ほかにも、30代以上が使いやすい工夫はありますか。

【坂田】たとえば、最初の登録時点で、職業や年齢を入れずに開始できるよう工夫しています。顔写真とプロフィールだけでスタートできます。多くのマッチングアプリでは、年齢、年収、身長など事細かなデータ入力が求められますが、そういった項目を思い切って排除しました。

そうすることで、普段からアプリを使わない、スマートフォンを使う習慣が少ない人でも、登録しやすいように作っています。

——確かに、マリッシュへ登録してみると、通知はメールで受信できますし、登録もスムーズでした。