「中国の加盟を認めるべきでないのは当然だ」と産経社説

9月20日付の産経新聞の社説は「中国のTPP申請 交渉できる状況にはない」との見出しを付け、「中国が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加盟を正式に申請した。TPPへの新たな加盟申請は2月の英国に続く2カ国目である」と書き出した後、こう指摘する。

「本来ならば、新規加盟が相次ぎ、TPP経済圏が広がることには意義がある。しかし、中国を英国などと同列に論じるわけにはいかない」

「同列に論じるわけにはいかない」。これが今回の中国参加の問題の根底にある。中国は1国2制度を適用して香港を国際金融都市として成長させた。しかし、結局は自由と民主主義を否定して民主派を排斥した。TPPに参加したとしても、最初は小利口に振る舞うだろうが、他の参加国の弱みを握って最後は覇権主義を振り回すことになるはずだ。

「交渉すること自体にも慎重であるべき」

産経社説は「TPPが実現させた貿易・投資の高度な自由化は、習近平政権下で一段と強まった経済の国家統制とは対極に位置する。しかも中国にはこれを改める気配もない」とも指摘し、「中国には、米国のTPP離脱を好機と捉えアジア太平洋地域での存在感を高めようとする狙いもあろう。それが覇権の追求を後押しすることを、中国による安全保障上の脅威に直面する日本は特に認識しておく必要がある」と訴える。

そのうえで産経社説はこう主張する。

「いずれにおいても、中国の加盟を認めるべきでないのは当然である。それ以前に、交渉すること自体にも慎重であるべきだ。交渉の事実をもって、中国の変化の証左とみなす誤ったメッセージを発しかねないからである」

自国に有利なように情報を何度も流して理解の薄い国から懐柔を図ろうとするのは、中国の常套手段である。TPPに参加する11カ国は気を付けなければならない。