中国の参加を食い止め、台湾の参加を許可すべき
9月22日の深夜、興味深いニュースが飛び込んできた。台湾の行政院(日本の内閣に相当)の報道官が、TPPへの参加を正式に申請したことを明らかにしたというのだ。台湾は今年2月、すでに参加の意向を表明していた。16日に中国が正式申請を行ったことから、台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)政権が正式申請を急いだのだろう。中国が先に参加した場合、台湾の参加が不可能になるからである。
台湾は中国から領空侵犯など軍事的介入を受け、いつ侵略されてもおかしくない緊張状態にある。そんな台湾にとってTPP参加は、国際社会での存在感を高め、台湾を「中国の一部」と主張する中国への大きな対抗手段となる。
台湾の動きに対し、中国共産党系「環球時報」の電子版は22日夜、「台湾の参加申請は攪乱だ」と強く批判した。9月7日には中国外務省の汪文斌(オウ・ブンヒン)報道官が記者会見で「台湾がTPPなどへ参加するときは、必ず『1つの中国』の原則に基づいて対処しなければならない」と台湾に警告していた。
日本の外務省は台湾の参加申請を前向きに評価している。TPPへの参加には参加国(計11カ国)すべての合意が必要だ。ここは日本が音頭を取って中国の参加を食い止め、台湾の参加を許可すべきである。
中国の国際社会に背く行動は断じて許されない
覇権主義を強める中国には価値観を同じくする民主主義国家がともに力を合わせて対抗していく必要がある。TPPはそのひとつになる。強権的な覇権主義に偏る中国は、さまざまな問題を抱えている。
台湾に軍事的な脅しや圧力をかけ、香港に対しては暴力と言論弾圧で民主派を一掃した。軍事力を背景に東・南シナ海に進出し、沖縄県の尖閣諸島を「中国の領土の不可分の一部」と繰り返し、周辺海域で中国海警船が侵入しては日本漁船を追い回している。
新疆ウイグル自治区ではジェノサイド(集団殺害)が国際問題となり、世界第2位の経済力を駆使して巨大経済圏構想の「一帯一路」を推し進め、暴利を貪っている。
国際社会に背く行動は断じて許されない。しかも中国の繁栄の裏には、大躍進運動、文化大革命、天安門事件と多くの流血や犠牲がある。中国共産党のこの100年間の過ちである。