TPP参加条件は中国の制度や考え方とは大きく異なる

中国は本当にTPPに参加できるのか。現実的にはハードルは高い。

たとえば、国有企業を優遇する過度の補助金は自由競争を歪めるとの観点から禁止されている。公平性を担保する目的で電子商取引ではソースコードの開示要求を禁止し、データの抜き取りなどを防ぐためにサーバーを自国に置くよう外国企業に規制をかけることも禁じている。知的財産の保護も重視される。国内外企業の差別は認められず、強制労働による物品の輸入もしないよう求めている。

国有企業の優遇、外国企業への規制、(新疆ウイグル自治区での)強制労働などいずれも中国の制度や考え方とは大きく異なる。

だが、そこはしたたかな習近平政権だ。アメとムチを使ったあらゆる手段で参加を求めてくるはずだ。日本を含むTPP参加各国は中国の本性を見抜き、決して参加を許してはならない。とくに日本は議長国である。加藤官房長官は9月17日の記者会見で「中国がTPPの高いレベルを満たす用意があるか、しっかり見極める必要がある」と述べた。議長国としてのリーダーシップを発揮し、民主主義の砦をしっかり守る責任がある。

中国経済のバブルが弾けつつあるとの見方もある

中国のTPP参加のための手続きには、全参加国の合意が必要だ。中国が前述した自国の制度と異なるTPPルールを受け入れられるのか。

ところで、中国の大手不動産グループ「恒大集団」の資金繰りが悪化し、世界的に株安が続いている。恒大集団以外にも負債に喘ぐ企業は多いという。中国経済のバブルが弾けたとの見方も出ている。中国の経済が崩壊すると、間違いなく世界各国の経済や社会に深刻な影響を及ぼす。

「恒大集団」の傾きは、習近平政権が打ち出した「共同富裕」(貧富の格差是正を目指す政策)をもろに受けた結果である。今後、中国の社会と経済が大きく変化する可能性がある。

習近平主席はTPP参加をもくろむことは止め、国内の市場をしっかりと立て直すべきである。