肩こりの根本原因は「姿勢の悪さ」「筋緊張」だといわれる。しかし、よい姿勢を筋緊張なしで保つのは難しい。理学療法士で、アレクサンダー・テクニーク国際認定教師の大橋しん氏は「あるフレーズを唱えると、脳が錯覚を起こして、リラックスしたままでも、よい姿勢をつくることができる。その結果、肩こりは即座に改善していく」という——。

※本稿は、大橋しん『魔法のフレーズをとなえるだけで姿勢がよくなるすごい本』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。

無意識に首回りの筋肉を緊張させてしまう

私は多くの方の体を診てきましたが、自覚のない方も含めて9割以上の方は無意識のうちに首回りを緊張させていました。その原因は大きく2つあります。

まず、肩をいからせたりすぼめたりしていること。首が縮こまってしまいます。そして、胸を張ろうとしすぎること。背中が狭くなって、首の筋肉も引きつってしまうのです。

左右の肩を離し、首回りの緊張をゆるめていきましょう。

その際のポイントは、頑張りではなく脱力によって、自然と正しいポジションに導かれていくようにすること。これを「脱力しよう!」という努力で実現させるのは難しいので、言葉の力を借りていきます。言葉を唱えると、頭の中でイメージが生まれます。そのイメージは感覚的な体験をもたらし、本当にそのようになっていくのです。

縮んでかたまった首・肩を解放するフレーズ

【魔法のフレーズ1】春、アルプスの雪がとけるように、両肩がゆっくり離れていきます。

姿勢以外に改善できる症状

・肩こり・首こり
・頭痛
・息切れ
・不眠
・自律神経失調症
・更年期障害

日本アルプスなど山すその雪は、春になって暖かくなってくると、日に日に雪解けが進んでいきますよね。そうして、ゆっくりと緑の面積が増えていきます。

魔法のフレーズをとなえながら、その雪解けに合わせて、ゆっくり、ゆっくりと両肩が広がっていくのをイメージしてみてください。コツは、左右はもちろん、四方八方に広がっていくようにすることです。

良い姿勢を保つには体がユラユラとゆらいでいることが大事なのですが、この「ゆらぎ」は、1つの方向に限定されるものではありませんから、肩や首、背中も、雪解けに合わせてゆっくり、いろいろな方向へ流れていったほうがよいのです。このイメージがつかめると、縮こまっていたり、ひきつっていた首回りの筋肉の緊張がとけたように消え、首がゆるやかに伸びて、姿勢もすっと立ってきます。