※本稿は、大橋しん『魔法のフレーズをとなえるだけで姿勢がよくなるすごい本』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。
本当によい姿勢とは「美しい」だけではダメ
突然ですが、みなさんは「姿勢の美しい有名人」をひとり挙げるとしたら、いったい誰を選びますか? 日本人はあまり姿勢がよくないので、すぐには思い浮かばないかもしれませんね。でも、日本人にも、誰もが認める美しい姿勢の持ち主がいます。
フィギュアスケートのゴールドメダリスト・羽生結弦選手です。ぜひみなさん、羽生選手の華麗なスケーティングや表彰台での姿を目に浮かべてみてください。特に注目してほしいのは、羽生選手の立ち姿勢です。
見た目が美しいのはもちろん、その姿にはどんな状況においてもパパッと機敏に反応して、的確かつしなやかに体を動かせそうなオーラが漂っています。本当によい姿勢とは、「美しい」だけではダメなのです。「美しい」「疲れにくい」「動きやすい」という3条件を満たしていなくてはなりません。羽生選手の立ち姿勢は、これらをすべて完璧にクリアしています。
中でも強調しておきたいのは、「疲れにくい」「動きやすい」という点です。羽生選手は、アスリートなのにヘンな力みがなく、ゆったりと自然に力が抜けていて、とてもラクに立っているように見えませんか?
これは、体の外側の筋肉(アウターマッスル)にあまり頼らずに、背骨や体幹、つまり体の内側の筋肉(インナーマッスル)で立っているということ。体の中心にまっすぐ芯が通っているからこそ、力を抜いていても、きれいに立っていられるのです。
そのため、頭から足までの荷重バランスが非常によく、肩、腰、ひざなどの体各部の関節や筋肉にほとんど負担がかかりません。こういう姿勢ならば、重さやストレスをほとんど感じることなく、まさに「羽でも生えたように」自由自在に体を動かしていけるでしょう。