肩こりや腰痛の根本原因は「姿勢の悪さ」だといわれる。それでは、どうすれば姿勢はよくなるのか。リハビリを支援する理学療法士であり、アレクサンダー・テクニーク国際認定教師の大橋しん氏は「そもそも頑張って姿勢をよくしようとすることが間違い」という――。

※本稿は、大橋しん『魔法のフレーズをとなえるだけで姿勢がよくなるすごい本』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。

心身の緊張が体をゆがませる

姿勢をよくするためには、「姿勢が崩れてしまう原因」を正しく認識しなければなりません。いろいろな答えがあるでしょうが、私の答えははっきりしています。

私たちが無意識のうちに、心身を緊張させ、かためてしまっているからです。

赤ちゃんのときから姿勢が悪い人なんて、いませんよね。周りの人がすべてお世話をしてくれますし、嫌なことがあっても、泣けば誰かがケアしてくれます。心身を緊張させる必要もない、いわばとても幸せな時期です。

でも、成長すれば幼稚園や小学校という「社会」に入らなければなりません。中高生にもなれば、人間関係の悩みも増えていきます。大人になれば、仕事や家庭に対する責任もあるでしょう。嫌なことがあったり、心配事やストレスを抱えているとき、私たちは赤ちゃんのように泣き叫ぶことはできません。その場から逃げ出したり、責任を投げ出すことも、なかなか難しいでしょう。

すると、どうするか?

その場を乗り切るために、体をグっとかためてしまうんです。

この、体をグッとかためてしまう状態を、私たちは何十年も続けています。心身の緊張が、ゆがみやカチコチのかたまりとして蓄積された結果、出来上がるのが「悪い姿勢」です。

姿勢が悪いと、当然注意されたりします。「背筋をピンと伸ばしなさい」「もっとシャキっとしなさい」私も何度も言われて、そう努力してきました。

このやり方では、私には無理でした。どんなに頑張っても、まっすぐな姿勢がもつのは10分くらい。すぐ疲れてしまい、また元の悪い姿勢に戻ってしまうのです。それどころか、反動でよりいっそう姿勢が崩れていく……そんな悪循環でした。