本書には「ここまでやるか!」とあきれつつも思わず感心してしまうような仕事術が詰まっているのだが、その一つに「出張前に出張報告書を書く」というものがある。

「たとえば小売店のスタッフが、地方の同じ系列の店を視察したい、と思ったとしましょう。普通は上司に出張に行かせてください、と頼む。でも出張にはコストもかかるし、なかなか機会はないでしょう。僕なら休日に行ける範囲の店に、自腹で行きますね」

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俣野氏の成功の軌跡

と俣野氏は言う。系列店がないなら、オープンしたばかりの話題の最新スポットに行ってみる。そこを視察して、勝手にレポートを書いて上司に提出するのだ。何も経営コンサルタントのように立派な分析は必要ない。「○○店に行って気づいたこと」というような個条書きで十分。いわば頼まれていない出張報告書を提出するのだ。受け取った上司は、「おまえ、休みの日にただ遊んでるだけかと思ったら、こんなことしてたのか」と驚く。そうすれば「次に出張に行かせるならアイツだな」ということになり、やがて大きなチャンスに結びつくかもしれない。

「ここまでやるか、と思うでしょう。でも他人がしないことをするからこそ、インパクトを与えられるんです」

「ここまでやるか」という例をもう一つ紹介しよう。それは「会議の書記を買って出る」というものだ。俣野氏は言う。

「普通は会議の議事録作成のような雑用は、やりたくないですよね。でも僕はあえてその役を買って出ていたんです」

つまり若手社員が出られる会議の議題はたかが知れている。上層部の会議では何が話されているのか。それを知りたければ、会議の書記を務めればいい。しかも、俣野氏はそれだけでは終わらせない。

「会議に出席できて勉強になりました、だけではもったいない。翌朝、会議の参加者が出社してメールを開いたとき、昨日の議事録が届くようにしておきます。つまりスピードで自分をアピールする」

そのためには会議のあった日、残業してでも議事録を完成させておく。これを繰り返すうちに、大事な会議への参加権が得られるようになっていくというのだ。

ここに挙げたのはほんの一例にすぎない。プロフェッショナルサラリーマンになるための奥義を、ぜひ本書を読んで獲得してほしい。

(神谷竜太=編集協力)