発売前に早くも重版が決定するほど注目を集めている『プロフェッショナルサラリーマン』。本書のなかから、特別に一部分を紹介しよう。

本書を一貫する主張の一つに、「上司を仕事の仕入先と思え」というものがある。


プレジデント社の「プロフェッショナルシリーズ」は、ユニクロの柳井正氏の「最高の教科書」『プロフェッショナルマネジャー』を筆頭に4冊が登場。続編も企画中である。

「自分が給料をもらえるのは、上司が自分に仕事を発注してくれるからこそ。つまり上司は自分の仕事の仕入先であってそれ以上でも以下でもない。上司に人間性とか余計なものを求めてしまうから悩むんです。そもそも上司の9割は自分と気が合わないもの。それなのに上司との相性にサラリーマン人生を左右されてしまう人があまりにも多い。悩んだ挙げ句、せっかく入った会社を辞めてしまう人、辞めはしないが仕事への情熱を失い、趣味に逃げ込む人が後を絶たない」

確かに「上司は仕事の仕入先」と思えば、多少のことは気にならなくなる。しかし時には上司から理不尽な扱いをされることもある。そんなとき俣野氏は、その怒りをエネルギーに転化させるという。

「たとえば、上司から腹の立つメールが来たとします。普通は不愉快なことは思い出したくないから、すぐ削除してしまう。でも僕はそれを印刷して、ファイリングします」

それを折に触れ読み返すことで、「今に見ていろ」と気合が入るのだ。

「もっとも、1年くらいしたらシュレッダーにかけたほうがいいですよ。相手も忘れていることを、根に持つことになってしまいますから(笑)」

俣野氏の考え方は、従来の「サラリーマン的発想」からすると型破りなものも多い。その一つが「事後報告を上手に使うこと」。

「これはある程度、仕事ができるようになってからの話ですが、時には上司の許可をもらう前に独断で動くことがあってもいい。たとえば目の前に大きなチャンスが転がっているのに、たまたま上司とすぐに連絡がとれない状況にあるとか、上司の返事を待っていたら出遅れてしまうような状況になったとしますよね。そんなときは、もし失敗したら自分が責任をかぶる覚悟で、行動すべきだと思うんです」(俣野氏)

責任を問われることを恐れて、事後報告というリスクを冒せないうちはまだまだアマチュア。プロは組織への貢献を一番に考えるので、このような「抜け道」も選べるのだ。