「マキオちゃん、面白い本があるわよ」
2001年、アメリカで暮らしている女房(宇宙飛行士の向井千秋)が、友人が入院したある病院の書籍コーナーで本を見つけ、「マキオちゃん、面白い本があるわよ」と私に送ってくれた。アメリカの病院の書籍コーナーで見つけたくらいだから、もちろん英語の本だ。
題名は『the wish list』。日本語に訳せば「人生でやりたいことリスト」といったところだ。そして内容はといえば、短い願い事が全部で6000、ささやかなものから夢物語まで淡々とリストアップしてあるだけ。私の女房は、いろんなことをして、しょっちゅう私を驚かせる。一見、この本がどこにでもあるフツーの本に思えたのも私の誤解だった。家で寝転がって読んでいるうちに、すっかりのめり込んでしまったからだ。
まず何といっても、リストアップされた願い事の一つ一つがおもしろい。たとえばこんな感じだ。「リビエラの豪華なホテルでロマンチックな週末を過ごせるご身分になっちゃう」「突然思いついた旅行を今すぐ実行」「誰の助けも借りずに新しいソフトをコンピュータに取り込めるようになる」「特許をとる!」「海底に潜って、難破して海底に横たわる16世紀のスペインの軍艦でも見てみる」「砂漠でオアシスを見つける」。