年金を増やす方法は3つ

ざっくりとではあるが、年金の仕組みがわかったところで、老後に受け取る年金を増やす方法を解説しよう。

方法は大きく3つ。

(1)60歳以降も厚生年金に加入して働き続ける
(2)60歳以降働かないなら、国民年金に任意加入し、40年に満たない期間について保険料を納付し、基礎年金額を増やす
(3)65歳から年金を受け取らずに「繰り下げ受給」する

60歳定年以降も再雇用などで働き続けると、厚生年金の加入期間が長くなるため、年金額は増える。これは、わかりやすい。

国民年金は20~60歳まで加入し、保険料を納付することになっている。20歳のときに大学生だったなら、その当時国民年金の保険料を払っていなかった人は多い。そうなると、保険料納付済み期間が40年に満たないだろう。

60歳以降も働けば、40年間払った金額になるが、働かないなら(2)の「国民年金に任意加入して足りない期間分、保険料を納付する」という選択肢がある。国民年金の保険料は月額1万6610円(2021年度)、1年分だと約20万円だ。働かずに収入がない身で年20万円はやや負担が重いかもしれない。

しかし、国民年金は保険料を1年納付すると、年金額は約2万円増える計算になる。「年20万円払って、増える年金は年2万円か」と思うかもしれないが、公的年金は終身年金なので、長生きすればするほどメリットがあることは知っておこう。

60歳以降の国民年金の「任意加入」は、文字通り「任意」であり、強制でないので、よく考えて決めるといい。

繰り下げ受給を選択すれば年金額は42%アップする

3つ目の「年金の繰り下げ受給」は、最近話題になっている。公的年金は本来65歳から受け取りはじめるが、開始時期を遅らせることを「繰り下げ受給」と言う。繰り下げをすると、年金額が1カ月につき0.7%増えるため、数年前から注目を集めている。

たとえば70歳まで繰り下げると、年金額は42%もアップする。年金額が160万円の場合、5年繰り下げると約227万円にもなる。話題を集めるはずだ。

メリットばかりではなく、注意点もあるので、後編で「年金の繰り下げ受給が向いている人、向いていない人」をケース別に紹介しよう。

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