孤児院で育った少女ジェルーシャ(ジュディ)が、匿名の資産家(ジョン・スミス氏)の支援で大学に行く。ジーン・ウェブスター『あしながおじさん』(1912年)は、多くの読者が胸をときめかせたシンデレラストーリーです。しかし、文芸評論家の斎藤美奈子さんは「大人の目で読むと別の構図が見えてくる」と指摘します――。

※本稿は、斎藤美奈子『挑発する少女小説』(河出新書)の一部を再編集したものです。作品からの引用は『あしながおじさん』(土屋京子訳、光文社古典新訳文庫、2015年)より。

羽ペンにインクで書かれた文字
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心うきうき大学デビュー

『あしながおじさん』は書簡体の小説です。舞台は寄宿制の女子大学。