1日数分でも“あり方”モードの時間を
瞑想のもうひとつのコンセプトとして、“やることモード(Doing)”の状態から、“あり方モード(Being)”の状態になること、とも言われます。どういうことかというと、私達は常日頃から、
・あれをやらなきゃ、これもまだやれていない
といったように、常に「やること」に振り回されてしまいがちです。一方で、
・自分がどういう状態か、どういうあり方をしているか
というように、自分の状態や「あり方」に目を向けている時間が圧倒的に少ないのです。
私達の日常は忙しく、寝ているとき以外、常に“やることモード”で動いてしまいがちです。でも、例えば温泉に行ってリラックスしたいときに、常に“やることモード”で動いているでしょうか? 旅館で、「あれをやって、コレをやって……」と忙しくしていたら、リラックスなどできません。私達がリラックスしようとしているときは、だいたい自分をリラックスさせようと“あり方モード”にしているはずです。
毎日の生活でも、1日数分でもよいので、この“あり方モード”の時間をとらないと、息が詰まってしまいます。
マインドフルネス・瞑想は、この「やることモード」の自分を一旦オフにして、ただ呼吸をしているだけの自分になることで、「あり方モード」に自分を置く、というふうにも捉えることができます。
3~6カ月実施すると不安感が8割減少
マインドフルネス・瞑想の研究は、近年とても盛んに行われています。アメリカ内科学会の雑誌に掲載された研究では、
・マインドフルネスを2カ月実施すると不安感は約6割減った
・マインドフルネスを3~6カ月実施すると不安感は約8割減った
という報告があります。その他にも、うつ症状、痛み、ストレス、心的不調に伴う生活の質を改善させていることがわかっています。
マインドフルネスを行っている人の脳の中で、何が起こっているかも、研究により明らかになってきました。
特殊なMRIを使った研究では、脳の一部である「島皮質」という場所で神経活動が改善したことが明らかになりました。島皮質は、感情・直感・共感などのコントロールに大切な役割を果たしている場所です。逆に、この部分が傷ついたりすると無気力になりやすくなります。この島皮質の機能改善が、マインドフルネスの効果であり、結果として先程挙げたようなうつうつの改善などにつながっているようです。
マインドフルネスは、研究からもその実効性が徐々に明らかになってきています。