健康で長生きするためにはなにを食べればいいか。京都大学名誉教授の家森幸男さんは「世界の長寿地域で共通して食べられているのが大豆。大豆は『健康食の王様』であり、ほとんどのがんや糖尿病の予防が期待できることや、更年期障害の症状を抑える効果がある」という――。(第3回)

※本稿は、家森幸男『遺伝子が喜ぶ「奇跡の令和食」』(集英社インターナショナル)の一部を再編集したものです。
※編集部註:タイトルを一部変更しました。初出時は「食べれば食べるほどがんを予防できる」としていましたが、誤解を招く恐れがあるため、「たくさん食ればがん予防が期待できる」としました。(9月2日13時50分追記)

大豆ときな粉
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大豆は「健康食の王様」

長寿の秘密を握る素材のひとつとして「大豆」があります。英語ではソイ・ビーンズ、ソイとも言います。

日本語の「醬油」という言葉がなまって、ソイと言われるようになったことからも分かるように欧米には元々、大豆がありませんでした。ヨーロッパで大豆の本格栽培が始まるのは19世紀になってからとも言われています。

しかも、欧米では、この大豆をもったいないことに家畜の飼料用として主に栽培していて、食用にする習慣はほとんどありません。これは実に憂うべきことです。大豆にはすばらしい健康増進パワーがあります。まさに「健康食の王様」だと思います。

そもそも私たちの世界調査は、脳卒中ラットに大豆を食べさせたところ、脳卒中を防いで長生きしたというところから始まっています。当時はまだ大豆の成分である「イソフラボン」も何も検出できていない時代でしたが、大豆が長寿の秘密にかかわる食材であることは当初から予想がついていました。

ちなみに尿中のイソフラボンは大豆の摂取量を反映します。これが多いと大豆をたくさん食べていて、少ないとあまり食べていないことになります。世界調査の結果を分析するとやはり予想通りで、中国・貴陽やハワイのヒロ地区など、多くの長寿地域では大豆が食べられていたのです。