高齢者の夢をかなえるためにコミュニティーで一致協力

トニーさんは、孤独から自分を救い出すために自宅の窓にポスターを貼り新聞広告を出した。「孤独な人間がここにいる」と広く知らせたかったのだ。これは、同じように孤独で苦しむ人への励ましでもある。勇気を出して声を出せば、必ず誰かが応えてくれる。まず第一歩を踏み出すことがすべてなのだ、と教えている。

私は、「おまわりさんごっこ」の話がとても好きである。

高齢者に対しては、私たちはとかく「助けてあげる」といった姿勢を取りがちだ。しかしそれは高齢者の夢をかなえることとは、発想が根本から違うようだ。私たちは、高齢者が実は心の中にかなえたい夢を抱いているとはあまり想像していない。健康で安全に日々暮らしていけば十分と思い込みがちだ。

多賀幹子『孤独は社会問題』(光文社新書)
多賀幹子『孤独は社会問題』(光文社新書)

むろんそれも大切な基本だが、高齢者もあまり口には出さないけれど、各々がそれぞれ夢を実現させたいと願っていると知るべきなのだろう。お手伝いをするためにコミュニティーが一致協力する。ここでは費用などはさしたる問題ではない。お金はかけないで知恵と時間を出し合い、協力することでお年寄りを幸せにする。これは、学ぶところが多いように感じられた。

さらに、自宅の窓に「寂しい。誰か助けて」のポスターを貼り出したトニーさんもまた、コミュニティーの人から手を差し伸べられた。トニーさんは喜んでその手をしっかりつかんでいる。遠いアメリカへの招待もうれしいけれど、近くの小学生との交流を選んだ。

高齢者の孤独を救うポイントは、身近なコミュニティーにあることを改めて思い知ったのだった。

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