新型コロナウイルスの感染拡大対策で、政府は「要請」の姿勢を取り続けている。それはなぜか。文筆家の御田寺圭氏は「あくまで“お願い”であるという建前を守れば、失敗の責任を政府が一身に負わされることはない。“国民の責任でもある”とする余地を残しているのだ」と指摘する――。
「金融機関への働きかけ」作戦の大爆発炎上
政府による飲食店の感染拡大対策として、西村康稔経済再生相より発表された「金融機関への《働きかけ》」という神業的スキームは案の定大爆発炎上し、大臣はすぐさま撤回することとなった。
酒類を提供する飲食店への休業要請などをめぐり、金融機関に融資先の店への働きかけを求めるとの政府方針について、西村康稔経済再生相は11日夜、ツイッターで改めて撤回を表明したうえで、「趣旨を十分に伝えられず反省しております」と投稿した。自ら打ち出した新型コロナ対策の一環だったが、与野党や飲食業界から激しい批判を浴びていた。
朝日新聞『西村大臣投稿「趣旨伝えられず反省」 金融機関働きかけ』(2021年7月13日)より引用
朝日新聞『西村大臣投稿「趣旨伝えられず反省」 金融機関働きかけ』(2021年7月13日)より引用
西村大臣の提唱したスキームは、実質的な規制でありながら、しかしいちおうの建前として「要請」と銘打つことによって、法的・行政的・政治的なアカウンタビリティとリスクを回避するという神業的なプランである。
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