6月23日、最高裁は夫婦別姓を認めない民法の規定を「合憲」とする判断を示した。ジャーナリストの鮫島浩さんは「夫婦別姓に賛成する人が約7割を占めるが、司法も国会も動かない。しかし絶望してはいけない」という――。
最高裁判所(2006年2月)
最高裁判所(2006年2月)出典=つ/CC-BY-SA-3.0/Wikimedia Commons

繰り返される夫婦同姓の合憲判決

最高裁判所が夫婦同姓を定めた民法の規定は憲法に違反しないという判断を示した。6月23日の家事審判の決定で、2015年の最高裁判決の考え方をそのまま受け継いだ。

世論調査ではここ数年、選択的夫婦別姓への賛成が反対を大きく上回っているだけに、賛成派の人々は「司法に裏切られた」という思いであろう。

最高裁判事15人のうち女性は2人。男女比のいびつさが最高裁の判断を歪めているという指摘はあたっていると思う。最高裁が国民の感覚から遠く離れた存在であることを改めて印象づけることになったのも間違いない。

最高裁は「この種の制度のあり方は国会で判断されるべきだ」との考えを示している。「夫婦は同姓でなければならない」という現在の婚姻制度は憲法違反とまでは言えないものの、国会が民法を改正して「夫婦は同性か別姓かを自由に選べる」という制度に変えても何の問題もないということである。国民の多くが望んでいるのなら、国会が世論を受けて選択的夫婦別姓を導入すればよい、と言っているのだ。

朝日新聞が今年4月に実施した世論調査では選択的夫婦別姓に賛成が67%、反対が26%(自民支持層でも賛成61%、反対32%)。2015年12月は賛成49%、反対40%(同賛成38%、反対54%)だった。この数年で賛成が反対を大きく上回るようになったのに、国会は依然として反対が強い。

世論と国会のねじれについて、最高裁はただ「傍観」しているとも読めるし、国会に対して「世論の声に耳を傾けなさい」と促しているとも読める。賛成する人には、たしかに「ずるい」姿勢だ。しかし、決して絶望してはいけない。