知らないことは調べてしまう前に教えてもらう

「知らないことは、人に聞く前に自分で調べろ」

新人のときに職場でそう教わった人も多いかもしれない。教える側の視点で見ると、分からないことは先に自分で調べてもらったほうが教える手間が省けるのは確かだ。

だが、分からないことがあるときは、知っている人に聞くチャンスでもある。自分で調べれば欲しい情報は得られるが、知っている人に聞くことで、他の知識も同時に得られるかもしれない。そして何より、教わることで新しい人間関係が生まれる。

逆にあなたが知っていることを相手に教えることで、互いに教え合う関係にもなれる。情報を知っているかどうかより、それを通じて人とつながることのほうが大事なのだ。

先輩に相談するか迷ったとき、「相手の時間をもらうのが申し訳ない」といって相談しなかった経験はないだろうか。しかし本当は、「こんなことも知らないのか」と自分が評価されることに怯えているのだ。初歩期でも研鑽期でもあなたはまだ過程にいる。質問は先輩との関係性を深めるチャンスだと思おう。

今まで先輩は後輩に教える立場だったが、これからは逆のケースも増えていく。日々新しいテクノロジーが生まれ、デジタルネイティブ世代の次には、スマホネイティブ世代、そしてプログラミングネイティブ世代が控えている。

世代間の分断が進むこれからは、先輩も後輩に知らないことを聞くことに慣れなければいけないのだ。

話すなら成功した話より失敗した話をする

自分をアピールしようと成功した話をする人がいるが、実はそれは逆効果だ。

成功した話は、環境や成功の基準が共有されていないと、話を聞いた相手はあなたの素晴らしさを理解することができない。たとえば社内で自分の営業成績が一位だったとしても、一度会社という環境を出ると、その素晴らしさは人に伝わらない。

成功談は自分のいる環境=ローカルの前提の上に成り立っている。一方で、苦労した話や失敗した話は、今所属する組織や環境には関係なく誰もが経験する。どんな人にも通じるグローバルな話題になりうる。

人に話すなら成功談よりも、失敗談や苦労話を選ぼう。誰しも人の自慢話なんかに付き合いたくない。誰もが失敗の経験はあるので、失敗談は共感されやすい。

人の魅力が表れるのは成功したときよりも、失敗したときである。そのエピソードにはあなたの性格や姿勢が表れるだけでなく、失敗談を話すことで自慢をしない嫌味のない人にあなたを見せてくれる。

過去の失敗が、今のあなたをチャーミングに見せてくれるのだ。自分の失敗談を話すことは人に好かれる一番手っ取り早い方法なのである。

失敗は隠すから恥になる。隠すことで自分の心の中にシコリとして残り、次に同じような経験をしたときにまた足をとられてつまずいてしまうのだ。失敗談を人に話すことは、自分がその恥を乗り越えるうえでも大きな一歩になる。