突然、子供が不登校になったら、あなたならどう対処するか
2 子供扱いはしないが、見放しはしない
元不登校だったという事例はもうひとりいる。男性Gさん(理科1類2年)だ。彼は中学受験を経て、名門の大阪教育大学附属池田中学に入学するが、頑張っても成績が伸びないという現実にぶちあたり、やる気は失せる一方。その心の穴を埋めるためにネットゲームにハマり、やがて昼夜逆転。学校にも塾にも行けない日が続き、中3では完全な不登校状態に陥った。一大事である。だが、Gさんの母親も落ち着いていた。
「布団をはがしたり、車で学校に送ったりしたこともありますが、ああせいこうせいと言っても無理なので、『家にいたいならいればいい』と見守っていました」
当然、附属高校へは進めなかったが、彼は、母の勧めで自宅から近かった箕面自由学園高校に入学し、こう考えたそうだ。
「中学では散々サボったから、この生活は中学まででリセットだ」
Gさんは、「両親は不登校気味の僕を見放さなかった。『好きにしろ』と放っておくこともできたと思うんですが、いい距離感で関わってくれた」と感謝の言葉を述べている。
ちなみに、大学に入ってからネットゲームはほとんどしていない。ゲームの世界のつながりよりも、大学でのリアルなつながりのほうがずっと面白いからだそうだ。
子供はわがままだ。一方で「好きにさせてくれ!」と自由を欲するが、一方では親が放置・放任という態度を取ると途端に不安な気持ちになる。
親が過度に面倒をみたり、「ああしろ、こうしろ」と無理強いしたりすることは避けるべきだが、「勝手にしろ!」と子供を「いないもの」または「腫れ物に触るような扱い」にすると、うまくいかないケースのほうが多い。
このバランスが子育ての難しい点だが、思春期以降はわが子を信じて、少し離れた位置から、我慢強く観察するというスタンスが吉をもたらすと筆者は思っている。