不幸な人はさらに不幸に、幸せな人はもっと幸せに…

国連の同レポートでは、新型コロナウイルスの幸福度に与える影響は、たしかに限定的でした。しかし、日本国内の調査では、幸福度に格差が生まれている──。

ここから言えることは、日本人全体では総合的に幸福度は上がっている。しかし、細かく分析すると、「幸せな人はどんどん幸せになり、不幸せな人はどんどん不幸せになる」という現象が起きているのです。

「不幸せになっている人」たちの中で下がった分の幸福度の総量を、「ますます幸せになった人」の幸福度の上昇分が上回っている。そのようにイメージすることができます。

つまりは、不幸せになっている人たちがいるにもかかわらず、それを上回るだけの、ますます幸せになっている人がいるのです。これが日本における「幸福度格差」の正体です。

幸福度日本一は「宮崎県」

では、コロナでなぜ、幸せな人はますます幸せになり、不幸せな人はますます不幸せになっているのでしょうか。

この現象を読み解くヒントが1つあります。「都道府県SDGs調査2020」(ブランド総合研究所)で示された、都道府県別「幸福度」ランキングです。

住民による幸福度、生活満足度、満足度、定住意欲度など、地域の持続性を調べるために実施されたこの調査によれば、2020年の「都道府県の幸福度ランキング」は1位宮崎県、2位沖縄県、3位大分県でした。一方、ワースト3は、45位福島県、46位佐賀県、47位秋田県でした。

1位の宮崎県は2年連続です。しかも宮崎県は、コロナ禍にあってもスコアが前年の72.7点から74.0点へ上昇しているのです。

ただ、都道府県別幸福度ランキングが1位になったからといって、宮崎県民にはまったく悩みがないのかといえば、けっしてそうではありません。

本調査では、「個人の悩み」についてもアンケート調査を行っています。宮崎県は「悩みがない」と答えた人の割合が11.6%で、全国最少でした。つまり、全国で最も悩みを抱えている人の割合が多い県でもあるのです

それなのに、なぜ、都道府県別の幸福度ランキングでは2年連続1位を獲得しているのでしょうか? まさに“ここ”に、コロナ禍における「幸福度の二極化」の原因が垣間見えると私は思います。

同調査によると、宮崎県民は確かに個人の悩みを抱えた人が多いのですが、しかしながら、その「悩みの内容」に大きな特徴があるようです。